阪神・西純 感謝投 母に見せた一球入魂74球「勝てて本当に良かった」
「中日3-4阪神」(8日、バンテリンドーム)
自身2連勝は逃したが、チームにバンテリンドーム今季初勝利を呼び込む投球だった。阪神・西純は6回を6安打3失点。粘りの74球で先発投手の責任は果たしたが、「1点をもらったところで守り切れなかった。自分の中では悔しいピッチングになりました」。逆転を許しての降板を反省した。
いずれも被弾による失点だった。五回、8番・鵜飼に投じた初球フォークを左翼席へ運ばれた。六回は3番・石川昂に高めの148キロ直球を左中間席にたたき込まれ「防げたホームランだったと思うので、もったいなかった」と悔やんだ。
同じ高卒3年目で仲のいい石川昂とはプロ初対戦。手痛いソロは浴びたが一回は右邪飛、四回は空振り三振に斬った。「あまり意識はしていなかったけど、ホームランを打たれたので次はしっかりとやり返す気持ちで対戦できたら」と今後長く続くであろう同学年対決での雪辱を誓う。
スタンドには母・美江さんの姿があった。西純が高1の秋、父・雅和さんは45歳の若さで急逝。以降、献身的な支えでプロの世界に送り出してもらった恩は計り知れない。母の日のマウンドに感謝の思いを込めながら、一球一球投げ込んだ。
プロ1年目の一昨年は母の日にプレゼントを渡さず「めちゃくちゃ怒られた」と振り返る。今年は母が欲しがっていたアップルウオッチを贈った。自身のウイニングボールは届けられなかったが「母の日というので、チームが勝てて本当に良かった」と心からの笑顔を見せた。
次戦以降へ「変化球が割と狙ったところに投げることができた。前回の反省はしっかりと今日のマウンドではできた」と手応えも口にした右腕。試合後の矢野監督は「代える必要はないでしょ」と次回登板を明言。頼もしい若武者は一戦一戦の経験を糧にし、たくましくなっていく。