阪神・井上一樹ヘッドコーチ（５０）が４日、佐藤輝明内野手（２３）の流れを変える一発に期待を寄せた。チームは開幕からリーグ記録の９連敗と泥沼にはまっている。上昇気配の見えない空気を一振りで変えられるのが若き４番だ。５日からの舞台は今季初の甲子園。地の利も生かしてまずは連敗を断ち切る。

　停滞ムードを吹き飛ばし、チームの士気が一気に高まるようなきっかけがほしい。井上ヘッドコーチは「４番に一発が出れば空気も変わるだろうし」と佐藤輝の一発に期待。さらに「約８割方、タイガースファンが埋め尽くしている甲子園で出ることで、その盛り上がりを選手は肌で感じられる」とホームの強みを生かしていきたい考えだ。

　今季から４番を任される佐藤輝は９試合を終えて打率・２８６、４打点の成績。コンスタントに安打は出るものの、まだアーチは生まれていない。ただ、２日の巨人戦（東京ド）の七回には右翼フェンス最上部に当てる二塁打を放つなど、本塁打の気配は漂わせている。

　まだプロ２年目の２３歳とはいえ、勝敗の責任を背負うのが４番打者だ。「プレッシャーをかけるつもりはないけど」とした上で「こちら側とすれば４番を任せている以上、頼りにもするし、雰囲気を作るための人材だよというメッセージは送っているつもり」と期待の大きさを口にする。

　井上ヘッド自身も雰囲気作りからバックアップしていく考え。スタートから予想だにしない大連敗を経験し、「選手も追い詰められている」と今の窮状を語った。それでも「ベンチの雰囲気はもちろん、明日からも明るく努めてやらせたい」と力を込めた。

　やまない雨はない。本拠地開幕戦で佐藤輝の今季１号、そこにファンの熱気が加われば、これ以上ない浮上の契機となる。