【阪神ドラフト選手特集・森木大智(3)】ライバル、マネジャー、みな森木に引きつけられた

 10月のドラフト会議で阪神から指名を受けた8選手(1~7位、育成1位)の連載をお届けする。先陣はドラフト1位・森木大智投手(18)=高知=が生まれてからプロ入りの扉を開くまでの道のりを振り返る。

  ◇  ◇

 蓮池小学校には、一つの作文が掲示されている。大智が小学6年生の時に書いたもので、高知新聞に掲載された。タイトルは『ぼくとライバル』。こうつづられている。

 『ぼくのチームのかんとくと、そのライバルのかんとくが、口をそろえて「お前らはライバルや!!」と言いました。初めは敵意識が強く、ぼくもライバルもとても力を入れて争っていました』

 出会いは、小学3年生。「ライバル」は、大智の相手チーム・加茂スポーツ少年団に所属していた。会話はなかったが、互いに意識し合う存在。そんな関係性に変化が訪れたのは、5年生となり、両チームの合同練習が増えた頃だった。

 『敵意識の強い感じではなくて、「良きライバル」になりました』

 6年時に互いに県選抜「高知ボーイズ」に選ばれ、初めてバッテリーを組むことになった。大智が、捕手を務める「良きライバル」へと剛速球を投げ込む。その積み重ねは、さらなる変化を生んだ。

 『2人とも「一緒に野球がしたい」という気持ちがじわじわわき上がってきました。(中略)ぼくは、絶対にライバルに負けません。そして、ぼくはプロ野球選手になります』

 6年後、夢をかなえた大智の隣で、胸がいっぱいになっていたのは-。「一番近くで練習していて感動しました。素直にうれしい。お互いがずっとバッテリーを組みたい気持ちが強かった」と話すのは、大智の「良きライバル」吉岡七斗君(18)だ。高知高の前主将で、捕手として高知中時代も含めた7年間、大智の球を受けてきた。

 同じ高校に進学することに言葉はいらなかった。教室で静かに本を読むクールな吉岡君と、クラスの中心ではっちゃける明るい大智。正反対にも思える2人だが、18・44メートル越しに強い絆で結ばれている。「ピッチャーなので熱い部分もありますし、強い気持ちは絶対に必要。それを自分がコントロールする存在。調和がとれてると思います」。けんかも日常茶飯事だったが、本気で向き合う毎日が特別だった。

 同野球部のマネジャー・黒田茉白さん(17)も、人生を動かされた一人だ。大智とは中学1年時に同じクラスで、吉岡君を含めた3人で仲が良かった。当時から2人に誘われて野球部の試合を観戦。プレー姿を撮影することにもはまり、どんどん引かれていった。

 高校ではマネジャーを志望。元々はマネジャーがなかった高知高以外の受験を考えていた時だ。「大智からマネジャーをしてくれと頼まれて」。これがきっかけとなり、進路を決めた。「大智はケガをしていた時も、部員60人2つずつ分のゆで卵を一緒にむいてくれました」(黒田さん)。誰かのために率先して行動する姿をいつも目にした。

 その人柄に、多くの人が引きつけられた。底知れぬ魅力の持ち主が、虎党からあふれる愛を受け取る日は、そう遠くない。

 ◆森木 大智(もりき・だいち)2003年4月17日生まれ、18歳。高知県出身。184センチ、90キロ。右投げ右打ち。投手。小学1年からソフトボールを経験後、3年時に高岡第二イーグルス(軟式)で野球を始める。高知中3年時に春夏の全国大会優勝。夏に愛媛・坊っちゃんスタジアムで軟式球ながら150キロを計測。高知では1年春の四国大会からベンチ入り。3年春に自己最速の154キロを記録。最後の夏は県大会決勝で明徳義塾に敗れ、高校3年間での甲子園出場はかなわず。

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