矢野阪神 痛すぎる0-0ドローで奇跡遠のく 22日にもV逸も「まだ残ってる」

9回、最後の打者・糸原の打球を見上げる阪神ナイン(撮影・飯室逸平)
 引き分けに終わり、スタンドのファンにあいさつする矢野監督(左端)ら(撮影・北村雅宏)
 5回、先制の好機に坂本(左)は凡打に倒れる。右は矢野監督(撮影・田中太一)
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 「阪神0-0ヤクルト」(20日、甲子園球場)

 矢野燿大監督(52)率いる阪神にとって痛すぎる引き分けだった。奇跡を起こすためには絶対に勝たなければいけない一戦だったが、前日16安打11得点の猛虎打線は一夜にして一変し、沈黙。五回に訪れた無死一、二塁の絶好機も生かせず、スコアボードに並んだ9つの「0」。ヤクルトの優勝マジックは1つ減ってしまい、3に。かすれゆく「優勝」の文字。いよいよ瀬戸際に追い込まれた。

 九回2死二塁。逆転Vへとつながるサヨナラ勝ちを信じる虎党が、祈るような思いでメガホンを打ち鳴らす。糸原がファウルで粘った末のフルカウントからの9球目。打ち上げた打球が左翼・山崎のグラブに収まった。阪神にとっては負けに等しいスコアレスドロー。この瞬間、ヤクルトのマジックは「3」に減った。

 「うちの立場では勝たないと状況的には厳しくなるのは分かっている。でも全員で精いっぱい戦った結果。受け止めて、残りの試合を戦うしかない」。試合後の矢野監督は前を見据えながら、努めて冷静に引き分けという結果を振り返った。

 スコアボードに「0」の数字が並んでいく。「カーブをいい形で使われたかなという感じはあったので。球の力もあったし、カーブが良かったから、なかなか簡単ではなかった」。指揮官もそう評したように、阪神先発のガンケルに負けず劣らず、ヤクルト先発の高橋も確かに絶好調だった。

 ただチャンスはあった。糸原、大山の連打で無死一、二塁と初めて得点圏に走者を進めた五回だ。ここで打者は小野寺。ベンチはバントの構えからバスターを仕掛ける策を選んだが、右飛に倒れる。「どうしても点を取りたかったら。いろいろ考えはあるけど…でも自分たちがしっかり点を取ろうとした中でやったことなんでね」。続く坂本、ガンケルも倒れ、無得点に終わった。

 11得点の爆勝を決めた前夜と同じく1番・島田、3番・近本のオーダーを組み、大山が6番で2試合ぶりにスタメン復帰。大量得点の翌日は…とは言うものの、この大事な局面でその“あるある”が発動しなくても…。2試合続けて得点を与えず、好調・ヤクルト打線の勢いを止めたことがせめてもの意地か。

 「この引き分けは変えられない。でも残りの試合で、この引き分けがあって優勝できたというものに変えられるチャンスは残っている」。矢野監督はあくまでも前を向き続ける。残り4試合を全勝したとしても、ヤクルトが2勝4敗以下でないと逆転Vはない。矢野阪神が、いよいよ崖っぷちに立たされた。

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