【中田良弘氏の眼】阪神の優勝へのカギは矢野監督の我慢力

 五輪ブレーク明けの後半戦。阪神が優勝できるかどうかのカギは、矢野監督の我慢力にあるのではないかと見ている。

 一時は巨人に最大8ゲーム差をつけながら、前半戦終了時には首位の座を守りながらも、2ゲーム差まで詰め寄られた。その要因として、4番・大山の打順を変更したことが挙げられると思う。

 2位・巨人に2・5差で迎えた6月29日のヤクルト戦で、4番を張ってきた大山を6番に降格させた。この試合は打線の組み替えが奏功する形で7連打が生まれ、逆転勝利を収めたのだが、私は、まだ首位なのにどこか慌ててるなという印象を受けた。

 確かに当時の大山の状態はそれほど良くなかったと思うが、それでも前後を担うマルテ、サンズ、佐藤輝の状態が良かったこともあるし、まだ首位なんだから、打順は変更せずに大山の復調を待つ方が良いのではと思った。

 他球団から見ても、大山を4番から外したことで、阪神は首位なのになにかバタついてるなという印象を与えると同時に、まだ十分につけ込む隙があるなと思わせてしまった側面もある。矢野監督にはどっしりとした采配を振ってもらいたい。

 期待するのは梅野。東京五輪での出場は少なかったが、しびれる試合の中でマー君(田中将大)や千賀の球を受け、その野球観にも触れてきた。優勝争いを繰り広げるであろうペナント終盤に、今回の経験を生かしてほしい。

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