阪神・ドラ1佐藤輝 スタメン落ちから意地見せた!シフト破った2死から5連打

 9回、大山がサヨナラ打を放つとベンチから飛び出して歓喜する佐藤輝(右)と梅野(左)=撮影・田中太一
 9回、代打で中前打を放つ佐藤輝
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 「阪神4-3DeNA」(12日、甲子園球場)

 奇跡の逆転劇に導いた陰の立役者は、9試合ぶりに先発を外れた阪神のドラフト1位・佐藤輝(近大)だった。3点を追う九回2死一塁、割れんばかりの大歓声に包まれながら代打で登場。ユニホームに描かれたどう猛な虎のように眼光は鋭かった。

 諦めずに白球に食らいつき“輝シフト”を鮮やかに破った。2球で追い込まれたが、佐藤輝は冷静だった。三嶋が仕留めにかかった外角フォークを強振。三塁手が遊撃、遊撃手が二塁ベース付近に構える右寄りのシフトが敷かれていたが、打球はその間を抜けた。

 「無我夢中でしっかりと食らいついて、シフトの間を抜けてくれて良かったです」

 プロ入り後、代打初安打が反攻の合図となる。ここからサヨナラ安打を放った大山までの5連打で実現された逆転勝利。「それが一番大きいですね。価値ある一本になったかなと思います」。“野球は九回2アウトから”の格言を体現できたのは、怪物ルーキーが意地を見せたからだ。

 2日・広島戦以来のスタメン落ち。試合前時点での月間打率・171という成績からも分かる通り、試合前の表情はさえなかった。ただ、室内練習場では井上ヘッドコーチから身ぶり手ぶりを交えた指導を受けて真剣に耳を傾けながら、復調のヒントを探っていた。

 涙ながらに会見場に現れた矢野監督は「テル(佐藤輝)も大きいし、(逆転劇に絡んだ)みんなが大きいよ」と土壇場で執念の一打を見せた佐藤輝を含む選手たちに感謝した。

 どれだけの活躍を見せようが、チームが敗れたら佐藤輝は常々「勝たなければ意味がない」と勝利への思いを吐露してきた。必死の一打が、勝利に直結-。悩みから全て解放されたような笑顔を浮かべ、ウオーターシャワーを浴びるヒーロー・大山の元へ全力で走っていった。

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