【岡田彰布氏の眼】中日ベンチの“出し惜しみ”が生んだサヨナラ劇

 阪神、オリックスで監督を歴任したデイリースポーツ評論家・岡田彰布氏が3日、京セラドーム大阪で行われた阪神-中日戦を視察。今季初のサヨナラ勝ちを呼んだ伏線に、中日ベンチの継投策があったと指摘。九回打ち切りのため、本来ならストッパー・祖父江を投入する場面。だが左腕・福をマウンドに送ったことで、右の代打・原口&陽川を起用できたことが好機を演出する要因になったと分析した。

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 阪神にとっては“ラッキー”と言えるサヨナラ勝ちだ。正直、2日に逆転で喫した1敗のダメージよりも、はるかに価値がある1勝だと言える。中日サイドの真意は分からないが、まず九回の頭から左腕・福で行ってくれたことが阪神にとってはプラス要素だった。

 これでベンチにいた右の原口、陽川を使える状況になった。キャンプ、オープン戦を見てきた中で、2人の状態は良く、他のメンバーと比較しても信頼度は高い。仮に九回の頭からストッパーの祖父江が出てきていれば、左の糸井、中野らが候補になっただろう。

 一発の危険性を含めて考えれば、どちらがゼロで抑えられる確率が高かったか-。現状であれば右の原口&陽川を打席に立たせない方が、失点のリスクは減る。結果的に原口の持ち味でもある粘り強さで奪った四球がサヨナラの起点となった。

 また祖父江は連投になるかもしれないが、前日の球数は8球。この日が6連戦の5戦目で、4日で3連投になったとしても5日は休養日。この試合、最善の結果となる引き分けで今カードの負け越しがなくなる状況の中、最も信頼を置く投手を出せる展開で出さなかった。この“出し惜しみ”で阪神にサヨナラのチャンスが芽生えたと言える。

 2日の試合は阪神が継投ミスで痛い一敗を喫した。そしてこの日は中日側の継投の人選が勝負を分けた形になった。やはり勝負事に「あわよくば」「何とか」という発想は禁物。ベンチは「絶対の信頼」を持って、選手を送り出さなければならない。

 また阪神にとっては青柳をはじめ投手陣の踏ん張りも報われたゲームになった。0-0のまま引き分けで終わってもおかしくない状況から奪った1勝の価値は、非常に大きい。

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