阪神 サンズのサヨナラ弾で2位浮上 試合前球児がゲキ!13連戦劇的発進
「阪神2-1ヤクルト」(1日、甲子園球場)
矢野阪神が一つになった劇的勝利だ。藤川が引退表明会見を行った13連戦の初戦、またしても火曜日の男のバットが火を噴いた。同点の九回無死、四回にも先制打を放っていたジェリー・サンズ外野手(32)が左中間へ来日初のサヨナラ弾を叩き込んだ。今季初のサヨナラ勝ちで貯金2とし、2位に浮上。球児も掲げた打倒巨人へワンチームで戦い抜く。
野球の神様はなんて粋な結末を用意したのだろう。チームを長きにわたり支えてきた大投手が引退を決め、思いを吐露した、その約7時間後。今季初となるサヨナラ勝ちが待っているなんて!
歓喜の輪が本塁付近で広がった。殊勲の大ヒーローとなったサンズが、その輪の中に飛び込んでいく。
「みんなが待っていてくれたのはすごくうれしかったね。水を掛けられたり、その中にスポーツドリンクもまじったりしていてすごくおもしろかったよ」
チームメートとともに“ハッピーハンズ”で喜ぶ主役に向かって、仲間からウオーターシャワーの祝福の水しぶきが飛んだ。
打った瞬間、それと分かる一発だった。同点の九回裏先頭で頼れる4番が打席に立つ。フルカウントからの6球目。イノーアが5球も続けたスライダーをサンズ様が逃すわけがない。
打球は左中間席へ一直線に飛び込む13号サヨナラソロ!「やっぱりサヨナラホームランは(自分で)打って勝つので気持ちいいもんだね」。この日は四回に先制打も放ち、チームの全得点を叩き出す活躍。火曜日の打率は・552となった。
試合前には引退会見を終えた藤川が、クラブハウスで仲間に熱いゲキを飛ばした。後半戦初戦、しかも過酷な13連戦前の叱咤(しった)に「『何とか(チームが)この位置にいるし、もちろん上にいけると外から見ていても思う』と。みんなにはしっかり届いた話があった」。矢野監督はチームを勢いづけた球児の言葉に感謝する。
球児は仲間の前でこうも言ったという。「自分もやれることは精いっぱいやっていく」と。全身、特に右腕が限界に近づく中で1軍の戦力になるために最後の力を振り絞る覚悟をみんなに伝えた。
劇的な勝利で3連勝。甲子園では今季15勝6敗2分けとなり、実に貯金を9も稼いでいる。週末の4日からは首位をひた走る宿敵・巨人との4連戦が、この聖地で控えている。
球児が戻る終盤までに優勝を争う位置まで差を詰めてみせる-。「藤川投手はいろんな経験をされていて、英語でも話し掛けてくれる。あと2カ月ある。しっかりジャイアンツに追いつけるようにたくさん勝っていきたい」。サンズだってもちろん、その心意気だ。
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