【矢野阪神V逸の影と逆襲への光3】12球団ワーストの102失策…課題は明確

 矢野阪神は貯金1の3位で2019年シーズンを終えた。CSではファイナルSまで進出したが、宿敵巨人に敗れて日本シリーズ行きを逃した。今季の問題点や課題を整理し、来季への希望を含め検証する。

  ◇  ◇

 野球にミスはつきものと言われる。だが、今季の阪神はミスが頻発した。特に守備は12球団ワーストの102失策。00年以来19年ぶりの3桁超えだった。記録に表れないミスも含めれば、成績に大きな影を落としたことは否めない。

 技術、経験…。多くの要因を耳にした。今季から1軍担当となった藤本内野守備走塁コーチは、「土台になる下半身のスタミナが足りなかったと感じる。下半身は捕球、送球、スイング、走塁にもつながるんで。まだ(レギュラーとして)1シーズンを通してやった選手が少ないから、難しい面もあったと思う。これは僕らも通った道」と1年を通して見えた課題を挙げた。

 別の球団関係者は、若手を育成していく中で起こりえる問題も指摘した。「準備段階で『こうしたらこうなる』とか、想像力が欠けていると感じる場面が多かった。経験が少ないから。今後は意識を高められるかも必要になる」。状況を整理し、あらゆるケースを想定できるメンタル面の成長を口にした。

 ただ、これらは毎日試合が行われるシーズン中は、修正が難しい面があった。今秋、来春にかけて対策を講じていくことになる。

 矢野監督は今春キャンプで自主性をテーマに掲げ、早出練習のメニューは選手に任せた。選手は前日にコーチへ申し出て、意見交換の上でメニューを決定。今後も方針は継続される。

 ただ、藤本コーチは選手に裁量が与えられる中、指導者側からもアプローチの仕方を考えていく必要性を説いた。「失策数は1年やって出た結果。僕らもどうするべきかを考えないと。ゼロからやり直したい」。個別練習で守備を選択した選手には、問題意識を共有し、今まで以上に練習量、取り組み方などを考えていく方針だ。

 矢野監督は今季、全力でプレーした結果、起きたミスは叱責(しっせき)しなかった。失策が頻発したシーズン中盤もだ。選手から「責められることはないし、次はやってやろうと思える」という声も聞いた。シーズン終盤のエラー数は8月は10個、9月は10個と減少。プロとして尊重する指揮官の姿勢が自覚を生み、プレーが消極的にならなかった結果とも言える。

 前向きに臨む方針も変わらない。指揮官は「チャレンジしにいってのエラーはうまくなる。チャレンジしないのが一番良くない」。この方針に基づくと、102失策は伸び代があると捉えられる。

 何より選手本人が悔しさを味わい、責任を感じている。失策数と順位は反比例する傾向にあり、失策数が減れば順位は上がる。阪神が優勝した03年は65失策、05年は70失策。逆に前回失策が3桁を超えた00年は最下位だった。来季のV奪回へ向け、課題は明確だ。

2023-11-05
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