矢野監督 動いた新4番マルテ口火 6番大山「送るという選択肢はオレの中でなくて」
「阪神6-5広島」(10日、京セラドーム大阪)
劇的な幕切れに、阪神・矢野監督の言葉も弾む。「予感はないけど、(バントで)送るという選択肢はオレの中ではなくて。ホームランを打ってくれたらなあと想像はしていたけど、現実的にはヒットでというふうに思っていたのがホント、ドラマみたいにね」
大きな決断だった。結果が出ない日が続いても「外すことは簡単」とかたくなに守ってきた矢野阪神の象徴とも言える「4番・大山」。106試合目にして、今季12球団唯一変わらなかった虎の4番を6番に降格させた。
「前日に嫌な負け方をして、何もしないで流れは変わりにくいのかなと。そう自分が思うのであれば、大きく変えるタイミングでもあるのかなと」。こう理由を説明した指揮官は「4番から外した日にこういう結果を出してくれたというのは何かあるんかな。悠輔に助けられた」と殊勲のヒーローに最敬礼だ。
糸井の戦線離脱もあり、新たに組まれたクリーンアップは3番・福留、4番・マルテ、5番・ソラーテ。得点圏に走者を置いた場面で3人から一本が出ず、「オレの中でもいろいろ反省もある」と矢野監督は言う。それでも、第104代4番に座ったマルテが、九回先頭で中前打を放ち、続くソラーテも四球を選ぶなど、劇的な結末へつなげた。
大成功とは言えないものの、結果的に今季初の先発全員安打をマーク。「すぐには変えない」と引き続き新打線で戦う。この一戦が奇跡的な快進撃の第一歩となるか。