「1番近本」は動かすべからず ここを克服して一人前 レジェンドがエール

 「令和」改元後、好調だった矢野阪神が5月初の連敗を喫した。4日に完投勝利を挙げたメッセンジャーが11日の中日8回戦(甲子園)で5回3失点で3敗目。翌12日の9回戦も若い才木が崩れ、打線も振るわなかった。特に深刻なのは打率急降下のドラフト1位ルーキー・近本光司外野手(大阪ガス)だが、虎のご意見番・小山正明氏は「ここを克服して一人前。矢野監督も辛抱して1番で使い続けるべし」とし、快足ルーキーと指揮官にエールを送った。

  ◇   ◇

 10日(金)にマルテの同点弾から一気5点を奪って中日に逆転勝ち。今季最多の貯金3とした矢野阪神だったが、翌11日(土)は一転して柳の前に沈黙。今季9回としては最多の13三振を喫して完敗、カードの連勝も「3」で止まった。さらに12日も3年目右腕・才木が5回5失点で今季初黒星。14日から始まる首位・巨人との連戦を前に、痛すぎる連敗になってしまった。地元・甲子園での週末だっただけに、スタンドに充満したため息の重さが手に取るようにわかる。

 11日の8回戦を直接見た小山正明氏も、重いため息をはき出したうちの一人。連敗が確定した後、さっそく感想を聞いてみると「期待してただけに残念やったわ」との言葉が返ってきた。個人的にも、先月の中日1回戦でビシエドに2発食らって敗戦投手となっていたメッセンジャーの出来に注目していたが、初回の3失点が全ての黒星。こちらもそうだが、レジェンドOBの声のトーンはさらに下がっていた。

 -メッセの投球、どのように見ましたか?

 「全盛時の面影が全くなかったね。ストレートに威力がないので変化球頼み。それもバラついとったし、ストライクを取るのに汲々しているように見受けられた。初回1死一、二塁からビシエドを三振に仕留めながら、続く高橋に先制の適時二塁打やろ。ヨーイドンでこれやから、試合が重なって当然やわな」

 -4日のDeNA戦で完投勝利。頼れるエースが戻ってきた、という印象を持ってたんですけど…。

 「僕もそやがな。いい投球をした後が大事、と思って見たんや。こないだの投球を見ると、下半身の動きに粘りが感じられんのや。下半身に粘りがないと、身体全体のこなしができん。土台を鍛え直さないといかんのやないかな」

 -次の登板までの間に、ミニキャンプ的なことをやらすとか?

 「今の状態のままでは、相手がどこであれしんどいと思う。彼には長い間エースとしてチームをけん引してきたという自負があるやろう。そこのところもふまえ、もう一度走り込んで下半身を鍛えるなりして、万全の状態をつくってほしいね」

 投手出身だけに、特にエース級に対する言葉は厳しくなる。そんな投手陣以上に気になるのが、ここまで奮闘を続けてきたドラフト1位・近本。一時は3割4分を超える高打率を誇っていたのが、ここに来て・295(13日現在)と急降下。この中日3連戦は14打数2安打で、好機での凡打も目立った。ただ、これ対しては小山氏は温かい目でエールを送る。

 -近本は研究されてきている感じですか?

 「それもあるやろうし、少し疲れも出始めてるのかもしれん。これまでは緊張感の中で無我夢中にやってきたのが、自分であれこれ考え始めた。いわゆるこれが『スランプ』ちゅうやつやろう。しかし、若いんやからここを克服していかんとな。そうして一人前になるんやで」

 -足にはスランプはない、ですよね。

 「そうそう。彼の足というのを他球団は相当警戒しとる。セーフティーバントがあるよ、と打席の中で思わせるだけで、守備位置もかなり変わるし、安打の確率も高くなる。もっと自分の足を信用すればええんやで」

 -「1番近本」は変えない方がいい?

 「当然やろう。動かす必要は全くない。矢野監督だってそのつもりでおるやろうしな。こんな時、ポッと打撃コーチが的確なアドバイスをしてやればええんやけど…」

 好調に滑り出した5月戦線だったが、思わぬ急ブレーキがかかった。あす14日からは目下カード6連敗中の巨人と敵地・東京ドームで戦うが、ムードは決してよくない。「ここが踏ん張りどころや」という小山氏の言を待つまでもなく、連敗したら再び借金生活に逆戻りする。近本を起点に、機動力を使った野球ができるかどうか。4月にプロ初勝利を献上した初戦の高橋優へのリベンジが、まず矢野阪神には求められる。ともかく、東京で「1つ勝つ」ことに徹してほしい。

(デイリースポーツ・中村正直=1997~99年阪神担当キャップ、前編集長、現販売局長)

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