【阪神・矢野監督-武豊騎手対談6】競馬の騎手は…野球に例えるとキャッチャー
同級生による新春BIG対談が実現だ。昨秋に1軍監督に就任した阪神・矢野燿大監督(50)と、昨年前人未到のJRA通算4000勝を達成した天才ジョッキー・武豊騎手(49)が、50歳という節目で挑む19年に向けた思いを語り尽くした。矢野監督が常々口にしているファンを喜ばせるという思いに、武騎手も共感。異なるスポーツであっても、超一流のアスリートだからこその互いの哲学に触れ合い、感じ取った刺激を胸に、ファンのためにも熱い一年を戦っていく。以下は対談その6。
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矢野監督(以下矢野)「どこで他のジョッキーと差を付けられたと思いますか?」
武豊騎手(以下武)「どうですかね。あまり深くこういう話は、意外とジョッキー同士ってしなくて。仲は良くても、1つの仲間だけど、敵みたいな」
矢野「でも僕はそうなって欲しいんです。同じユニホームを着ててもみんなライバルなんですよ。プロなんで、結果へのこだわりという部分で言えば、もっとライバル意識をメラメラにして、同じポジションのヤツとしゃべるか!というぐらいでやっていければ。僕らの時代はそういうのがあったように思いますが、今はどこもどっちかといえば、仲良くというか、違和感を感じますね」
武「僕は特別誰かをかわいがるとかは一切ないんです。ただ、誰とも口を利かないとかでもなくて。仕事全体のことは言いますが、細かい部分はあまりしゃべりたくないなと」
-野球選手とジョッキーで共通点はある?
武「野球関係者に、競馬の騎手って野球に例えるとどのポジションかなって聞かれた時は、僕はいつもキャッチャーじゃないかなと答えてます。馬がピッチャーで、調教師が監督かな、とか。やっぱり馬が主役というか、一番鍵を握る、それを生かすも殺すもキャッチャーって大きいと思うので。だからキャッチャーから監督になられてというのは余計に見てみたいし、楽しみで」
矢野「面白いですね。馬が下柳やなあ、オレは下柳に乗ってた(笑)。うまく引いたり押したり、機嫌を伺いながら。武さんの話を聞いて、すごくキャッチャーっぽいなと思いました。馬は一番中心的にいて、行きたい方向に行くけど、でもそれじゃ勝てなかったり、うまくいかない方向に行く時に、こっちが何かできることを探してやるというか。だから勝った時に自己満足というか、自分の中で何かコイツにできたんじゃないか、導けたんじゃないかというのは、ジョッキーの方もあるんだなというのはすごく共感できます」
-06年に武さんは甲子園で始球式を。
武「ディープインパクトとかに乗ってた頃ですね」
-生で競馬をご覧になったことは?
矢野「ありますね。馬ってきれいですね。実際に見たら、ラインというか、すごくきれいですね。ピッカピカで」
武豊「僕らは野球を見に行くと『やっぱりプロ野球選手かっこええ』と思うし、グラウンドもきれいやし、『プロフェッショナル感』をすごく感じます。毎年行ってますよ」
矢野監督「ありがとうございます。今年もぜひきてください」