糸井 通算1500安打 史上124人目 マルチも逆転負けで笑みなし
「広島7-3阪神」(21日、マツダスタジアム)
五回を終えて試合が成立すると、ベンチ前に花束が届けられた。受け取った阪神・糸井が小さく、だが誇らしく、観客に向けて掲げる。史上124人目の通算1500安打。悔しさが募る試合後、敗戦に言葉が出なかった。移籍後249本目の安打。節目の大台に到達した。
二回だ。先頭で打席に立つと、野村にカウント1-1から3球目。外角低めのカーブを狙った。体勢を崩されながらすくい上げた打球は右前で弾んだ。2003年度ドラフト自由枠で投手として日本ハム入団。06年の野手コンバート後、翌07年9月10日のロッテ戦で初安打を放った。大卒、しかも投手を経てはスピード到達だ。
昨年9月8日のDeNA戦。同学年の鳥谷が、史上50人目の2000安打に到達。糸井は言う。「本当にリスペクトしています。あれだけ骨折したりしても、試合に出続けるんだから」。5月には顔面に死球を受けて鼻骨を折った。それでも鳥谷は翌日も試合に出場。胸に響く姿だった。残り500本。自身の記録には「ほど遠いな」と遠くを見つめる。
刺激し、高め合う存在。偉業を目の前で見届け、歩みは力強さを増した。自身も6日の広島戦。右ふくらはぎの張りで途中交代した。6月末に死球を受けて右足腓骨(ひこつ)を骨折。依然として完治しておらず、手負いのまま出場が続く。それでも金本監督に「全部行く」と約束。残り試合に全てを懸ける。
「僕はFAできているから」。手負いでもグラウンドに立つ理由は、勝ちたい、勝利を届けたい一心だ。五回には右翼線二塁打。すぐに1501本目を放ったが、大勢が決まった最終回は、右足の状態を考慮して代打が送られた。「少し足がな。怖さが出た」と金本監督。勝利には届かなかった。だが、残り17試合。手負いでも逆転CS出場に向けて、フルスイングを崩さない。
関連ニュース


