金本監督、糸井はオレよりできる 初ラブコール「躍動感に足も長打も」

 阪神・金本知憲監督(48)が10日、オリックスからFA宣言した糸井嘉男外野手(35)との契約交渉を前に、初めて同選手の印象を語った。04年に打点王を獲った36歳当時の自分を引き合いに、「おれよりも若いと思うし。体が」と年齢を感じさせないプレーへの期待を明かした。一方で「口説き文句」に関しては口を閉ざした。練習後には安芸を離れ、交渉に備えて帰阪。恋人への熱い思いは、本人のためだけにぶつける。

 秘められていた思いがついに明かされた。秋季キャンプの練習終了間際、ここまでFA市場に沈黙を貫いてきた金本監督が、糸井に関して初めて口を開いた。絶対に獲りたい。口説きたい。だからこそ自ら動く。

 「(チームに必要な選手かと問われ)それはそう。だから獲りにいく。(印象は)躍動感があって、足もあって長打力もあって、という」

 来季の巻き返しを狙う上で、必要な選手だ。今季、得点力不足もあって4位に終わった流れを見ても、「攻撃力」の改善は必須事項。若手の育成はもちろん、その課題克服の一手が糸井獲得となる。金本監督の要望もありここまで調査を進めてきた中、FA宣言選手の公示を受けて、晴れて「ラブコール」を送った。

 35歳シーズンとなった今季の糸井は、打率・306、17本塁打、70打点で53盗塁という好成績を残した。体力面の衰えを感じさせないパフォーマンスを披露していることもあり、指揮官も、糸井の年齢面の心配はしていない。

 「まだまだできる?そう判断してるし、よく体も鍛えてる選手と聞いてるし。僕がタイトル取った年だから、36歳。おれよりも若いと思うし。体が」

 金本監督自身、02年オフに広島からFAで阪神に移籍して、加入1年目の03年にリーグ優勝に貢献。同じ左打ちの外野手というだけでなく、どこか自分と重ねてしまうところがあるのも自然な流れ。その上で、優勝に向けた起爆剤になり得ることも分かっている。

 この日は紅白戦後のリレーとロングティーを見届けると、安芸を離れて飛行機で帰阪。直接出馬となる11日の交渉に備えた。「初対面」の場でどういう話をするのか。何を伝えるのか。そんな報道陣の問いに、金本監督は多くを語らなかった。

 「それはまあ明日、明日。また明日」

 「まあ、まだそんなに。まあ明日」

 そう言って、笑みを浮かべながら質問をかわした思い。今は口にしたくない。口説き文句は糸井本人にだけ聞かせる。勝負の11日。指揮官が熱い思いを、恋人にぶつける。

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