【超変革を検証】鳥谷が苦しんだ一因は今春キャンプにあり 一変した調整法

 朝日が降り注ぐ2月の沖縄・宜野座球場。阪神・鳥谷が遊撃から三遊間の最深部へダイブ。今度は二遊間へ再び体を投げだす。「鳥谷~!」。全体練習開始の1時間前だというのに、スタンドには多くのファンが詰めかけていた。誰もが「超変革」の旗手として期待を寄せていた。

 今季最終戦となった1日の巨人戦後、鳥谷は正直な気持ちを吐き出した。「いいシーズンだったとは言えないです」。12年連続全試合出場は果たしたが、打率はプロ入り後ワーストの・236で、7本塁打、36打点。守備でも12失策と精彩を欠いた。

 6月に自己ワーストを更新する28打席連続無安打と不振にあえぎ、7月24日の広島戦で5年ぶりにスタメンを外れ、連続フルイニング出場が667試合でストップ。浮上の兆しを見せた時期もあったが、長続きはしなかった。苦しみ続けた要因はどこにあったのか。今春キャンプにその一因があると考える。

 金本監督から20本塁打を厳命されて迎えた16年春。特守に特打、さらに金本キャンプを象徴するリレー大会とフルメニューをこなした。そんな主将の姿にシーズンへの期待を高めた。しかし、疑問に感じるところもあった。

 肉体的に飛躍的な進化を望みにくくなる35歳シーズン。開幕前にここまで追い込んで練習しなければならないのか。過去12年間で培った調整法は、どの程度生かされ、実践できたのか。

 例年の1月は長距離走で長丁場に耐え得る体作りに励んできたが、今年は米国・ハワイで瞬発系のトレーニングを多く組み込んだ。並々ならぬ決意の表れだった。キャンプでの打撃練習にも変化が生まれていた。

 インサイドアウトの軌道から左中間方向に放たれる鳥谷本来の打球は目立たず、右足を高く上げ、右翼方向へ引っ張り込んで柵越えを連発していた。だが、次第にズレが生じ、バットのヘッドが外、外を回るようになる。相当量を振り込んだことで癖づいてしまい、シーズン中に修正することもできなかった。

 片岡打撃コーチは「今年のキャンプで結果が出なかったのだから、来年はまた考えないといけない」と、調整法の改善を示唆した。また、捕手の送球を後逸するなど、守備面でも名手らしからぬプレーが続出した今季。片岡コーチは体のメンテナンスの見直しを早急な課題とした。

 「ベテランになると柔軟性、瞬発力、目の3つが衰えてくる。オフの期間に見直してほしいね。来年も、戦力として頑張ってもらわないといけないから」

 開幕への調整法を再度変えていくことが、巻き返しを図る上での重要なポイントを握る。まだまだチームをけん引することは可能だと信じている。虎の顔は、虎の顔であり続けてほしい。

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