39歳福留が執念走!ボテボテ内野安打で1点もぎ取った「何とかしようと」

 「阪神3-5ヤクルト」(26日、甲子園球場)

 どんな形でもいい。とにかく、後ろへつなぎたかった。ロード明け初戦。横浜からの移動ゲームを“休日返上”した阪神・福留孝介外野手が反撃ムードを高める激走だ。間一髪、送球より速く一塁を駆け抜け、執念で追加点をもぎ取った。

 「高山がああやってつないでくれたから、何とかしようと思っていた。結果的にラッキーでしょう」

 試合後、フル出場した39歳は事もなげに振り返った。5点を追う五回だ。好調の打線がじりじりデイビーズを追い詰める。8番・坂本の二塁打をきっかけに好機を広げると、2死一、三塁から、3番・高山が右線2点適時三塁打。ルーキーの懸命な姿を見て、ベテランが燃えないはずがない。2打席目までまさかの連続空振り三振。この打席もスライダーに詰まらされたが、打球は不規則な変化をして遊撃の前へ。39歳は一塁まで全力疾走だ。セーフをもぎ取ると、体全体でぜいぜい息をした。

 指揮官の熱い思いに応えた。本来なら移動ゲームは休養日。だが前カードの初戦試合後に金本監督から「うまくいけば孝介に6試合頑張ってもらおうかな…と。孝介には内緒だけど(笑)」と出場を示唆されていた。

 大量リードした初戦、3戦目は途中交代という形で、体調を配慮してもらい、この日の朝もチーム便より早い新幹線に乗って、球場入り。1番乗りの高山に並ぶ早さで球団関係者を驚かせた。クラブハウスに入ると、ズラリと並んだスポーツ紙を見て、声を上げた。

 「高山!高山!高山!高山!」

 黄金ルーキーは前日25日にプロ初の満塁本塁打をマーク。華々しい活躍で、各紙の1面を飾っていた。この夜の主役は自分とばかりに自然と気合が入る。練習前には灼熱(しゃくねつ)の太陽の下、いつも通り黙々と緑の芝生を走った。

 最終打席は際どい判定に首をかしげたが、ゲームセットの瞬間まで、勝負を諦めない。CS進出へ向けて、今カードはそれほど重要な3連戦だ。福留が示したファイティングポーズは、きっと明日につながるはずだ。

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