来年２月に阪神の安芸２軍キャンプで臨時投手コーチを務める江夏豊氏（６７）が金本監督、掛布２軍監督の要請に応え、技術指導を解禁する。両指揮官が２９日までに直接伝え、江夏氏がこれを快諾した。１軍キャンプで臨時コーチを務めた今年２月に説いたのは主に心構えだったが、来春は伝説の技を若虎に伝授することになる。

　通算２０６勝、１９３セーブを挙げた伝説の左腕が極上の技を惜しみなく伝授する。来春の安芸２軍キャンプで臨時投手コーチを務めることになった江夏豊氏に１、２軍の両監督が「ぜひとも！」と、懇願した。

　金本監督「江夏さんに、キャンプでは若手に技術指導のほうもよろしくお願いします、ということは直接言いました」

　掛布２軍監督「江夏さんも気を使われる方。技術的に気になることがあれば、何も気にされることなくやっていただければと思っています」

　江夏氏には指導における信念がある。短期間で技術指導を行うには“限界”がある－。臨時コーチを務めた今年２月の１軍キャンプでも主眼に置いたのは精神的な指導。沖縄・宜野座のブルペンでは試合や練習に臨む心持ちの大切さを深く重く説いていた。金本、掛布両指揮官はそんな江夏氏の心情を承知しながら頭を下げ、レジェンドがこれを快諾した。

　江夏氏「先輩風を吹かすだけではなく、野球談議ができればいいな。選手の近くで指先からボールが離れる音を聞いて（初めてその選手の）フォームが分かる。野球の技術を見るのは自分にとっても勉強になるから」

　江夏氏は安芸で技術指導を解禁する。伝説の宝刀が若虎を刺激することは間違いない。