鳥谷、虎歴代4位1694安打 藤村に並ぶ

 7回、左前へ安打を放つ鳥谷(撮影・田中太一)
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 「阪神1-5中日」(8日、甲子園)

 観客席から一塁塁審へヤジが飛んだ。4点ビハインドの九回。阪神・鳥谷が右足でザクッと三遊間の土を掘った。踏ん張って一塁へ正確なボールを送ったが、間一髪セーフの判定。大島の遊撃左へのゴロが内野安打になると、冷静な主将の表情がほんの少しだけゆがんだ。

 攻守の要は悔しいはずだ。一歩球場に入れば痛いかゆいをおくびにも出さないが、体調が100%か?と聞かれれば、ノーだろう。和田監督はキャプテンを打順下位で起用する理由を6月21日・ヤクルト戦(甲子園)で背中に受けた死球の影響だという。攻守において全力プレーに支障はない-鳥谷は献身的な動きでそう語っている。

 「真っすぐにキレがありました」。最終回は大野のフォークを捉えきれず三ゴロ。最後の打者になったが、完投勝利を献上したリーグ最多勝左腕からチーム唯一の2安打を放った。二回にフォークを中前へ放つと、七回はマートン本塁打の後、直球を左翼へ運んだ。23度目のマルチ安打はゴメスと並び、チームトップタイ。プロ通算安打を1694まで伸ばし、ミスタータイガース・藤村富美男の安打数と肩を並べた。

 「1本でも多く打てるように頑張ります」。試合後、永久欠番レジェンドの記録に到達したことを聞かされると、静かな口調ながらしっかりと反応した。

 最近5試合は連続安打を続け、その間の打率は・364。前カードの3日・DeNA戦では15試合ぶりに本塁打を放つなど、手負いの状態でも上昇曲線を描くたくましさが、フルイニング出場を継続する男の本領だ。

 コンディショニングスタッフによると、鳥谷は痛む患部にテーピングさえ施していないという。一切、態度に出さない。クールに試合に出続けるすごみはどんな個人記録より尊いものだ。

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