「3番」鳥谷逆転V弾!甲子園初星!

 「阪神4-3広島」(12日、甲子園)

 この勝利、この一打を待っていた!!1点を追う八回無死一塁、この日3番に入った阪神・鳥谷敬内野手(33)が、今季自身初打点となる1号逆転2ランを右翼席に放った。和田豊監督(52)が「1番・西岡」「3番・鳥谷」とする打線組み替えを決断。主将が見事、期待に応え、甲子園での今季初勝利で連敗は6でストップ。虎の反撃はここからや!

 視線の先には大きく揺れる右翼席。歓喜するファンの姿が感情を刺激した。鳥谷は一塁へ駆け出すと、うっぷんを晴らすようにほえた。6連敗脱出へつながるアーチ。主将が今年初めて聖地に凱歌(がいか)を響かせた。

 「甲子園で勝てていなかったので勝ててよかった。ほっとしている」。お立ち台では5試合目での本拠地初勝利を何よりも喜んだ。

 悪い流れを象徴する展開をひと振りで変えた。六回に西岡の失策で勝ち越され、中盤は打線がつながらない。またか…。嫌なムードで迎えた八回だった。

 無死一塁、カウント2ボール。「ボール球を投げられない状況だったので、ストライクゾーンに来たら思い切っていこうと思った」。中崎の内角への148キロに反応。体に巻き付きながら出てきたバットの芯に乗せた。

 「打った感じは行ったと思った」。今季初打点となる右翼への1号逆転2ラン。9日ぶりの勝利へ導き、単独最下位を阻止した。

 今季14試合目。和田監督は打線の目玉だった1番・鳥谷、3番・西岡を初めて入れ替えた。「つながりという点で思い切って動いた」と話す指揮官に対して、主将は冷静だった。「去年も打っているし、何とかしなきゃというだけだった」。いつもと変わらぬ姿勢で決勝弾へとつなげた。

 この試合で藤村富美男を超えて球団歴代8位の1559試合出場となった。「1つずつ積み重ねなので。1試合でも多く出られれば」。個人記録については淡々と話したように、視線は常にチームへと向いている。

 以前、走塁ミスで塁上に残った若手を、自身で本塁にかえせなかったことがあった。すると、ベンチで落ち込む後輩に声を掛けた。

 「クリーンアップでかえせなかったんだから俺たちが悪い。若い時はミスしても構わないから、思い切ってやればいい。俺もいっぱいミスをしてきたんだから」。練習姿勢だけではなく、言葉でも一丸で戦う集団の基礎をつくってきた。信頼が厚い鳥谷に導かれ、猛虎は再び上昇気流に乗った。

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