江越、初安打&初エラー ほろ苦初聖地
「阪神3-8DeNA」(7日、甲子園)
阪神・江越にとって人生に一度のメモリアルはほろ苦かった。「ヒットよりも、後ろにそらしたエラーが…まだまだだなと思います」。試合後、真っ先に反省を口にした。
悪夢は六回だった。金田がバルディリスに浴びたライナー性の打球が中前へ飛んだ。この回から大和に代わり中堅を任された22歳はバウンドを合わせられず、後逸。この間に打者走者の三進を許し、続く飛雄馬の中前適時打で決定的な6点目を奪われた。
福留からは「引きずるな。次のプレーに集中しろ」とたしなめられた。駒大時代から定評のあったディフェンス面のほころびは本人にとっても不本意だ。非凡な打撃がクローズアップされ開幕1軍を勝ち取ったが、守備の課題はキャンプ、オープン戦で指摘されていた。名手・大和の代役となれば、ハードルの高さが並大抵ではないことは自覚している。
泣き笑いの甲子園デビューになった。底冷えの甲子園を一瞬ホットにしたのも江越だった。劣勢の中でプロ初安打を放った。五回。能見の代打で打席に立つと、1-1から井納の外角直球を右前へはじき返した。5日の巨人戦(東京ドーム)でプロ初先発を果たしたが、3打数無安打。「1本打ちたい」と意気込み甲子園開幕戦に臨んだが、直後の失策で顔色をなくした。待望の1本にも「いずれ出ると思っていたので、気にしていない」と控えめだった。
背番号25の後継者だ。広島へ移籍した先代の新井貴浩は「駒大の後輩だし、気になっていつも新聞で結果を見ている。阪神の関係者から性格もいいと聞く。大成して欲しい」と、温かい目を向ける。
記念球はDeNA内野陣から阪神ベンチに転がされ、狩野が大事そうにベンチ裏へ運んだ。「近いうちに両親に渡したいです」。この夜の悔しさを糧に次の一歩を踏み出す。
