西岡意地の適時打 自打球で負傷も何の

 「阪神5-4中日」(27日、京セラ)

 脂汗をヘルメットの内側に滴らせながら、阪神・西岡は、きしむ右足を踏み込んだ。インローのスライダーを最後は右手一本でさばき、打球は背走する荒木の頭上を越えた。二塁走者の鳥谷が生還すると、一塁ベース上でパン、パンと勇ましく手をたたいた。

 「きれいなヒットではなかったけれど、負け試合から引き分けでも勝ちに等しい試合を勝ちにできたのはチームにとってプラス」

 起死回生の同点シーンは背番号7のド根性から生まれた。3点劣勢の八回。鳥谷、上本が2死無走者から連続安打で築いた好機でアクシデントが襲った。1ボールから142キロを振り抜いた打球が右膝の内側を直撃。歯をくいしばって、ベンチから飛び出した権田トレーナーを制止した。4球目を執念でヒットゾーンへ運び、なおも2死一、三塁からゴメスの打球が右翼線で跳ねると、西岡は一塁から長駆生還。九回守備を新井良に譲り、ベンチ裏で治療を受けた。

 「開幕戦で何としてもチームのためにという思いが強かった」

 昨季、巨人との開幕カードで福留と衝突し、重傷を負った。意識を失ったまま救急車で搬送され入院。ベッドでまぶたを開けると見舞いに駆けつけた大和らチームメートの顔があった。長期リハビリを乗り越えられたのは僚友の激励と、西岡コールをくれたファンの支えがあったから。

 オフに三塁構想を固めた和田監督に「二塁で勝負させてください」と上本との競争を志願した。指揮官の意向を受け入れる形で三塁に就いたのはキャンプ最終日。送球時のメカニクスが異なる三塁転向の代償は大きく、3月上旬に右肩を痛めた。必然的に昨秋手術した右肘が張り、調整は頓挫。不安視する周囲の声を受け止めながら、この日を迎えた。

 「明日勝てばきょうの試合が生きる」。足を引きずりながら球場を後にした西岡の雪辱はここから始まる。

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