「日本シリーズ第１戦、阪神６－２ソフトバンク」（２５日、甲子園）

　ここぞの場面で集中打を生む阪神打線。その核を担うのが、マートンだ。力強いスイングから放たれた打球は、満場の虎党の声援に後押しされ、中堅・柳田の頭上を越えた。

　場面は五回。リードを３点に広げ、なお２死一、二塁。「コンパクトに打ち返そうと考えた」と粘った末に７球目のスライダーを捉え中越えの２点二塁打。「パピー（一走・ゴメス）もよく走ってくれたね」と笑顔だ。

　四回にはゴメスの先制打の後、１死二塁の好機に空振り三振で、追加点を奪えず。だが、同じ轍（てつ）は踏まない。それがリーグ首位打者の実力だ。和田監督も「マートンのダメ押しが非常に大きかった」とたたえた。

　初の日本シリーズに高ぶりを覚えながら「試合では気持ちをコントロールすることが大事」と話していたマートン。勝負の時を控えた前夜は、家族とのハロウィーンパーティーで心をほぐし、「ゆっくりと寝られたよ」と万全の状態を整えた。

　いつも自らを支えてくれる家族も「特別な機会だからね。全部（観戦に）来るよ」と有形無形の力を送る。ただ、シリーズは始まったばかり。「あと３試合勝たないといけない。１試合１試合、頑張っていくよ」。頼れる猛虎の５番打者は、力強く宣言した。