マートン涙の帰国 来季は神様の導き 

 涙の帰国だ‐。阪神のマット・マートン外野手(32)が22日、関西空港発の航空機で米国へ帰国の途についた。2年契約を満了した助っ人の去就は白紙。本人は目を充血させながら、行き先は「神の導き」と繰り返す一方、メジャー復帰にも自信をみなぎらせた。阪神は全力で慰留する方針で、今後の交渉では大型契約を提示する見込みだ。

 マートンは目頭を押さえた。空港ロビーの天井を見上げると、青い瞳が赤らんだ。

 「来年どうなるか分からないけど、僕を育ててくれた日本の方に感謝したい。来年どこへ行こうとも、日本で過ごしたことは自分の気持ちの中で一生残るものだと思う。感情的になってしまったけど、今はそういう気持ちでいっぱいなんだ」

 阪神と結んだ2年契約が満了した。来季どこでプレーするのか全く白紙だという。にもかかわらず、会見で並べた言葉は、惜別の思いに満ちていた。もうこの場所に戻ってこられないかもしれない。長旅に備え、球団広報に、長男からせがまれた日本産の豆乳を10パック依頼。搭乗前、ステファニー夫人、3人の子どもたちを見つめ、感傷に浸った。

 「米国で成し遂げられなかったことをやってみたいという気持ちはあるけど、それと同時に、僕にとって家族が一番大事なんだ。家族とは色んな話をしているよ。最終的には、神様が導いてくれたところに行ければいい」

 敬虔(けいけん)なキリスト教信者らしく、去就を問われるたびに「神様の導き」を重んじると繰り返した。その「導き」が米国になれば、「第2の故郷」と愛着のある日本とサヨナラする。

 今後、マートン側の代理人が阪神と交渉に臨むが、決裂した場合、メジャー球団への移籍を最優先に国内球団との交渉も可能となる。マートンは「機会あって、またタイガースでプレーできることができれば光栄」と話したが、その一方で、変わらぬメジャーへの復帰願望、そして4年前とは違う「自信」も、みなぎらせた。

 「メジャーでプレーすることは、誰にとっても憧れだよ。日本に来る前にプレーしていた以上にできるという気持ちは持っている」

 年間最多安打の日本記録を樹立した技量を、母国で発揮できれば‐。そんな野望が言葉にあふれた。瞳にためた涙の意味を来年、甲子園で聞くことができるのか。日本産のヒットメーカーが米国で熟考のときを過ごす。

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