まさかの暗転…虎5年ぶり1回8失点
「阪神3‐8巨人」(16日、甲子園)
まさかの暗転劇だ。阪神が初回に3点を奪いながら、七回に投手陣が踏ん張り切れず、守りも乱れて、巨人戦では5年ぶりの1イニング8失点。初回にバントを試みた大和が右手中指に投球を受けて、負傷交代するアクシデントで幕を開けた一戦は、痛恨の逆転負けに終わった。首位・巨人に4連敗でゲーム差は3・5に広がった。17日の前半戦最終戦こそ、虎の意地を見せてくれ。
大暗転。宿敵をなぎ倒すため、小石を積み上げた城壁がもろくも崩れ去った。無数の労が1イニングで、一瞬にして泡と化した魔の七回。スコアボードに刻まれた屈辱的な数字。一挙8失点。タテジマが聖地で連敗の憂き目を味わった。
27個のアウトを奪い、勝利に前進する作業の難しさを改めて痛感させられた。両軍ベンチが火花を散らした駆け引きの応酬。すべては想定の範囲内だった。だが…。この夜ばかりは、自慢の中継ぎ陣が踏ん張り切れなかった。
3連打と犠打で2点差に迫られた七回、1死二、三塁。代打・石井。スタンリッジから左腕・加藤へスイッチ。すかさず、巨人が代打の代打・矢野を送り込む。「想定内?もちろん。ただ、そこでの勝負に負けてしまったということ」と和田監督。加藤が三塁線を破られた同点の2点適時二塁打。悪夢の始まりだった。
3番手・安藤が中井に浴びた右前打を今成が後逸し、勝ち越し点を奪われて、なお2死一、三塁のピンチ。阿部の初球に一走・坂本が二盗。一塁が空いた。ベンチの指示は敬遠の満塁策。「守りやすさじゃなくて、どっちを打ち取れるかということ」。3打数無安打の阿部を歩かせ、2安打の村田との勝負。まさかの押し出し。
悲しげな音を響かせながら、右翼の芝生に落ちたジェット風船。追い打ちをかけるように、4番手・筒井が走者一掃の3点適時二塁打を浴びた。宿敵に喫した5年ぶりの1イニング8失点。3イニングの攻撃を残してはいたが、一度手放した流れは、二度と戻ってくることはなかった。
屈辱を全身で受け止めた虎将。3万9652人の声に応えられなかった現実が、何よりも悔しくてたまらなかった。「ピッチャーに関しては、後ろ4人で勝ってきた。信頼が揺らぐことはない」と中継ぎ陣に敗因を求めることはなかった。時にこんなこともあると、自らに言い聞かせるように口調を強めた。
巨人戦4連敗。ゲーム差は3・5に開いた。残りは64試合。時期的に決して悲観する必要のない敗北だ。前半戦最終マッチ。誰もが待っている。強敵を打ち砕くタテジマの姿を。虎、くみやすし。そんなイメージだけは、相手に持たせてはいけない。聖地に響く六甲おろしの大合唱。猛虎の底力を待ち望んでいる。
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