マートン悲壮覚悟!今季ダメなら引退

 「阪神春季キャンプ」(2日、宜野座)

 阪神のマット・マートン外野手(31)が2日、2年契約が切れる今季について、昨季同様の不振が続いた場合「リタイアしないといけない」と引退覚悟で臨む考えを明らかにした。来季以降の去就は考えず、まずは今シーズンに全力を注ぐ考えだ。この日のランチ特打では2度の3連発、最長140メートル弾を飛ばすなど、復活へ仕上がりの早さをアピールした。

 仲むつまじく宜野座村野球場の外周を歩いていたカップル。そこに猛烈な勢いで白球が飛び込んだ。ネットに阻まれ大事には至らなかったが、身をかがめ、驚きの表情を浮かべる2人。あわや大惨事の一打を放ったのはマートンだった。

 本来の姿を取り戻しつつある助っ人の口から意外な言葉が漏れたのは練習後だった。自らの首を切るしぐさをしながら「今年も昨年と同じような成績ならカット(クビ)。アメリカからも声がかかることはない。そうするとリタイア(引退)しないといけない」。現時点でハッキリと頭の中にある危機感、そして引退の2文字。昨年は期待されながらも打率・260、5本塁打、38打点と低迷した。加えてグラウンド外でのトラブルなど、精神的に不安定な状態に陥った。

 今季が2年契約の2年目。助っ人として結果を残さなければ、当然、オフには厳しい処遇を受けることになる。一昨年は「選択肢にあった」とメジャーからオファーを受けたが、2年連続で成績を残せなければその声もかからない。

 本人は「できるならタイガースでプレーしたい。家族も日本が気に入っている。もう4年も住んでいるから」と明かした。悲壮感‐。それがキャンプ2日目のランチ特打に臨んだ助っ人の姿からにじみ出ていた。

 冒頭の140メートル弾だけでなく、左翼芝生席後方にあるネットの中段まで飛ばした。41スイングで2度の3連発を含む11本のアーチをかけた。「練習だけ。試合ではノーチャンス」と笑ったが、214安打のプロ野球記録を樹立した2010年型フォームにさらなる改良を加えている。

 トップの位置を深く取ることで、ボールを強くたたけるようになった。それがフリー打撃の飛距離にもつながっている。「天気も良いし、体は動いている。去年は雨ばかりでイヤだった」と笑みを浮かべた。

 助っ人の言葉を伝え聞いた和田監督は「それくらいのつもりでね。去年と一緒では困る。期待のレベルも高いし、力以上のモノをだせとは言わないが、来たころの打撃を取り戻して欲しい」と言う。

 「先のことは考えず、今はいいシーズンを過ごすこと」と力を込めたM砲。危機感を抱き、野球へのめり込む助っ人はひと味も、ふた味も違う。

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