アーセナル移籍浅野の思い「旧市民球場跡地に新スタジアムを」

 イングランド・プレミアリーグの名門アーセナルに完全移籍が決まったJ1広島の日本代表FW浅野拓磨(21)の移籍会見が、4日に広島市内で行われた。

 晴れやかな表情で新たな挑戦という未来を語った21歳は「広島にはすごくお世話になって、感謝してもしきれないほど。少しでも広島に恩返ししたいし、力になりたい気持ちはある」と3年半を過ごしたクラブへの愛着を口にした上で、「(旧広島)市民球場跡地にサッカースタジアムができることを一人の選手として、一人の人間として願っている。またいつか広島でプレーできればいいなという気持ちは持っているので、そうなった時に新しく市民球場跡地にできたスタジアムでプレーできれば、こんなに幸せなことはない」と、推定450万ユーロ(約5億1000万円)の移籍金の一部を“旧広島市民球場跡地の”新スタジアム建設に充てることを訴えた。

 新スタジアム建設を巡っては、「旧広島市民球場跡地」を要望するクラブ側と港湾地区の「広島みなと公園」を推す行政側と主張が対立。議論は平行線を辿っている。

 浅野は会見後の囲み取材でも「広島のチームメイト、スタッフ全員が思っているし、僕自身の率直な気持ちを言わせてもらった。またこのチームでやりたい気持ちはあるし、(生まれ故郷の)三重に帰るか広島に帰るか悩むくらい、広島は特別な場所。このチームに帰って来て、広島の温かいサポーターと共に戦いたい。その時は市民球場跡地にあるスタジアムでやることに意味があるし、ワクワクしている」と繰り返した。

 浅野の会見翌日、広島市は5日付けで広島側から出されていた確認事項(26項目)への回答書を提出した。球場跡地にサッカースタジアムを建設する理由が難しいとする理由については、周辺を「広島を象徴する平和を支える重要なエリア」とし、「(球場跡地が)国有財産であり、国有財産法の制約を受ける」「都市公園法の制約もあり、複合開発が困難」「観客の滞留場所や動線確保が困難であり、一般の歩行者の通行にも支障が生じる」などとしている。

 また、行政側が収容人を3万人規模に設定する理由には「過去10年間の日本代表戦は、3万人未満のスタジアムでの開催は94試合中4試合、A代表に限ると1試合のみ」とし、広島側が計画する収容人数2万5000人では、国際大会の誘致対象になりにくいと答えるなど、見解の相違は続き、事態は動き出す気配がない。未来ある若きサッカー選手の言葉を、行政側はどのように聞いただろうか。(デイリースポーツ・山本直弘)

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