サッカー五輪代表選考3つのキーワード

 日本サッカー協会が1日、リオデジャネイロ五輪代表メンバー18人を発表した。メンバー構成から浮かび上がるのは「守備重視」「速さ」「まとまり」の3つのキーワード。記者会見での手倉森誠監督(48)の発言をもとに、日本の戦い方を探る。

 おおむね予想された通りのメンバー構成で、大きなサプライズはなかった。左膝の負傷で離脱しているセンターバックの岩波拓也(神戸)も、「思った以上に回復が早い」と招集に踏み切った。これにより、より詳細なポジションごとのメンバー構成は以下の通りになる。複数ポジションをこなせる選手については、“本職”と想定されるポジションに振り分けた。

 ▽GK2人(櫛引、中村)、▽サイドバック3人(藤春、亀川、室屋)、▽センターバック3人(塩谷、岩波、植田)、▽ボランチ4人(大島、遠藤、原川、井手口)▽攻撃的MF3人(矢島、中島、南野)▽FW3人(興梠、久保、浅野)

 目を引くのは18人中ボランチに4人をさいたことだ。手倉森監督は、ナイジェリア、コロンビア、スウェーデンと強豪ばかりと対戦する五輪本大会を「攻撃的にはたしてやれるのかと。僕は必ず押し込まれて、守らなければならない時間が続く大会になるだろうと6割方思っている」と分析。「相手を打ち負かそうと思った時の守備。サイドバック、センターバック、ボランチ。ここを厚くするためにボランチを4枚にしました」と守備を重視していることを明言した。

 主将でもある遠藤航(浦和)はセンターバックもでき、A代表として出場した昨年8月の東アジア杯では右サイドバックも経験。さらに塩谷も右サイドバックはできる。左足の骨折から復帰したばかりの室屋に万が一の事態が起きてもカバーでき、各選手のコンディションを見極めた柔軟な選手構成もできる。

 一方の攻撃面では「チャンスも少数かもしれない。そこをつけるような選手をそろえたつもりです」と一瞬のスキをつける選手に期待した。鈴木武蔵(新潟、185センチ)、オナイウ阿道(千葉、180センチ)といった選手がメンバーから外れたことで、MF、FWに180センチを超える選手は0人。セットプレーでは迫力不足が懸念される。ただ、ボールを納める能力にたけた興梠慎三(浦和)が基点となって、スピードのある浅野拓磨(広島)が裏をつく、といった戦い方は、守備からの速攻を軸に戦うとするならばイメージしやすい。中島翔哉(FC東京)は“消える”時間があったとしても一瞬の動きでシュートを決める得点力がある。

 最後に「まとまり」の面では、指揮官は「集中開催であるリオの大会で強みとして発揮される『まとまり』を、18人で発揮できるだろう」と発言している。今年1月に行われたアジア最終予選のメンバー以外から、五輪メンバーに入った選手はGKの中村航輔(柏)だけ(オーバーエージ枠は除く)。その中村も本来は最終予選のメンバーに入っていたが、直前に牲川歩見(現鳥栖)に変更になったという経緯がある。

 6月30日に行われたスタッフ会議では、図らずもこうしたことが話題になったという。このことを指摘されると、「昨日のミーティングを盗み聞きしたかのような質問で…」と苦笑いした手倉森監督は、「結局、最終予選のメンバーだよね、というのは話しているうちに最後で出た。後から気付いた話でした。いいところに気付きましたね」と、新戦力の個性とチームのまとまりをてんびんにかけた上で、最終予選+オーバーエージ枠のメンバー構成を選んだと振り返った。

 これまでに出場した五輪以上に「絶対的なエース」にあたる選手がいないことは事実。その中で勝ち進むための条件を監督が考慮した現実的な選考だったと言える。

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