川崎、大久保Vヘッドで鬼門突破

 「J1、G大阪0-1川崎」(29日、市立吹田サッカースタジアム)

 川崎は元日本代表FW大久保嘉人(33)のゴールでG大阪を下した。大久保はJ1通算162点とし、自身が持つ最多得点記録を更新。チームはG大阪の本拠地12戦目で、初めて勝ち点3をつかんだ。G大阪はこれで公式戦ホーム5連敗。

 自分に向けられたブーイングが心地いい。真っ青に染まるG大阪サポーターの目の前でゴールを決めた川崎のエース大久保は、仁王立ちして喜んだ。「気持ちいい」-。J1通算得点を162に伸ばす圧巻の一発だった。

 前半30分だ。小林にボールを渡した大久保は、周囲の様子を確認した。1対1を仕掛けた小林が相手を抜くのを見た瞬間、エリア外から一気に中へと走り込んだ。DFのチェックを受けながらも、スピードを落とすことなくゴールへ向かい、ピンポイントのクロスを頭で押し込む。流れるような先制の決勝点を奪った瞬間、スタジアムは静まりかえった。

 前節浦和戦(●0-1)で喫した今季初黒星は、紛れもない完敗だった。負けなしで進んできただけに、ダメージは少なくない。それでも、チームはぶれなかった。目指すは優勝。選手の間では「ここで崩れちゃいけない」と声が上がった。再起を懸けた1戦目の重要さは、全員が理解していた。

 これまでアウェーG大阪戦では、3分け8敗。価値ある初勝利に、MF中村は「アウェーでガンバに勝って次に進めるのは非常に大きい。こういうゲームを取っていくと、自信になる」とうなずいた。

 鬼門突破の原動力となった大久保は「優勝するには、また次勝たないと。これからでしょ?真価が問われるのは」とサラリ。喜ぶが、浸りすぎない。地に足をつけた頼もしいエースを中心に、クラブ初タイトルへ向け、一歩ずつ進む。

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