なでしこを決勝へ導いた安藤の声
「カナダ女子W杯・準決勝、日本2-1イングランド」(1日、エドモントン)
なでしこジャパンがイングランドに競り勝ち、2大会連続2度目の決勝進出を決めた。1-1で迎えた後半ロスタイム2分にMF川澄奈穂美(29)=INAC神戸=の右クロスが相手DFのオウンゴールを誘い、これが決勝点となった。なでしこは5日午後4時(日本時間6日午前8時)からの決勝(バンクーバー)で大会連覇を懸けて米国と戦う。
試合前、なでしこたちの勝利への欲望をさらに強くさせたのはMF安藤梢(32)=フランクフルト=の声だった。
「私をバンクーバーへ呼んで!」。カナダから8000キロ離れた日本で手術を受け、リハビリに励む安藤の声が携帯電話を通じ、ロッカールームに広がる。緊張感や、いまだ勝ったことのないイングランドへの恐れを和らげた。
初戦・スイス戦で左足首を骨折した安藤は第2戦のカメルーン戦後にチームを離脱し、帰国。カナダで戦うなでしこたちとは頻繁に無料通話アプリ「LINE」などで連絡を取り合い、ともに戦っていた。
試合後の記者会見で佐々木則夫監督(57)は高らかに宣言した。「ファイナルに行ったら安藤に戻って来てもらい、一緒に戦うという計画がありました。その思いがかなって、またバンクーバーに戻ることが決定しました」
米国との決勝。安藤はプレーこそできないが、ベンチ入りする。「米国に勝って、アンチ(安藤)にW杯トロフィーを掲げてもらう」。なでしこたちは今、この新たな目標達成のため、連戦で疲弊する体を奮い立たせている。