浦和まさか首位陥落…自力Vも消滅

 「J1、鳥栖1-1浦和」(29日、ベアスタ)

 悪夢の首位陥落だ。敵地で鳥栖と対戦した浦和は、後半24分にMF阿部勇樹(33)がPKを決めて先制するも、終了間際に被弾して1-1で引き分けた。2位のG大阪が神戸に3-1で勝ったため、勝ち点62で並び、得失点差で8月9日の第19節から守ってきた首位の座を明け渡した。C大阪に4-1で大勝した同60の3位鹿島までが優勝の可能性を残した。12月6日の最終節はG大阪が徳島、浦和が名古屋、鹿島は鳥栖と対戦する。17位のC大阪は来季のJ2降格が決まった。

 悪夢という言葉でも生ぬるい悲劇が待っていた。1点リードのロスタイム。相手の左CKから同点弾を決められた。直後に終了の笛の音が響くと、選手たちはピッチ上に崩れ落ちた。首位陥落。「ドローでも大量失点した試合と同じ気持ちだ」とMFマルシオリシャルデス。心は木っ端みじんに砕かれた。

 勝ちきれない。立ち上がりからフィジカルを生かした鳥栖のスタイルに苦戦。こぼれ球を拾えず厚みのある攻撃はできなかった。それでも後半24分にFW李忠成がPKを獲得。相手DFも退場し、これを主将のMF阿部がキッチリと成功。だが「次の1点を決めてトドメをさせなかった」と振り返るように、数的不利の鳥栖にじわりじわりと詰め寄られ、相手GK林も攻撃に参加する捨て身のCKで、守備が決壊した。

 ダメージは甚大だ。前節にはG大阪との直接対決で敗戦。「目をつぶると、ガンバとの試合が出てくる。まだネットを見たくない」と話していたMF柏木は「ごめんなさい、みなさん」とだけ話し、立ち止まらずにバスへ。試合後のロッカールームでは「サッカーはこれだからおもしろい」と無理やり前を向く選手もいれば、「何で失点してしまったんだ」などの言葉が飛び交うなど、イレブンは混迷していた。

 追われる立場が、一瞬で暗転。自力Vも消滅し「サッカーの神様がほほ笑まなかった」と李忠成。運命の最終節は名古屋と対戦。GK西川は「ホームで無失点で勝つことで、良いドラマが待っていると思う」。し烈な頂点争いの行く末は-。

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