ミラン勝利!長友の“不敗神話”止まる
「イタリアリーグ、ACミラン1-0インテルミラノ」(4日、ミラノ)
サッカーセリエA第36節ACミラン対インテル・ミラノのミラノダービーが4日夜(日本時間5日早朝)、ミラノのサン・シーロ・スタジアムで行われ、ミランが1-0で勝利を収めた。インテルの日本代表DF長友佑都は左サイドバックでフル出場、ACミランの日本代表MF本田圭佑はプレーしなかった。
ミラノダービーで初の日本人対決が予想されたゲームは、長友と本田のチームでの位置づけを示すものとなった。すでにマッツァーリ監督のインテルには欠かせない要員となった長友と、期待を背負いながら完全にレギュラーポジションを奪えていないミランの本田。注目のダービーで2人の立場ははっきりと示された。しかもミラン・セードルフ監督はこれまで基本としてきた4-2-3-1ではなく、4-3-1-2の布陣を敷き、バロテリとカカを2トップに置くというサプライズをやってのけた。
前半のインテルのチャンスは19分、長友がDFロランドから受けたパスを左サイドで上がり、ゴールラインあたりから折り返した形のシュートが一本。左足のこのシュートはミランGKアビアティがセーブした。一方のミランはカカ、タラブト、バロテリなどがチャンスを作り得点を狙う。37分にはカカが狙い澄ましたミドルシュートを放ったものの、惜しくもバーを叩いて終わった。
ミランが積極的に攻めた前半は0-0で終了した。ミランの本田は、ハーフタイムの途中からサブメンバーのピッチでのボール回しに加わり、アップしていた。
後半は長友もインテルのコバチッチらと絡んだり、イカルディらがシュートを放つが決定点にはならなかった。そして20分、ミランのバロテリが左サイド30メートルからのFKを、ゴール前に詰めていたМFデヨングが頭で合わせて先制点を決めた。セードルフ監督と同じオランダ人で本田のことも高く評価しているこのプレーヤーが、試合のМVPとなった。
1-0とリードした後、ミランは32分にバロテリから途中出場のパッツィーニのスルーパスでゴールが決まったように見えたが、オフサイドの場面があった。これに興奮したのかミランのチームカラー、赤と黒の小さな旗を持った一般男性がピッチへ“乱入”。旗を振りまわしながら、ミランの選手に興奮状態で接触し、最終的には警備員に取り押さえられた。
2011年のインテル移籍以来、ダービー戦では負けなしの不敗神話を誇る長友だったが、それは今回でストップした。観客7万3855人の中には多く日本人ファンの姿も見られた。
ほぼ来季の欧州リーグ出場圏内の5位が確実となっているインテルと、このダービーで負ければ欧州リーグへの道(6位)が閉ざされてしまうミランでは危機感が違った。ダービーの結果次第ではミラン・セードルフ監督の来季の続投はありえないからだ。
セードルフ監督の“奇策”4-3-1-2が功を奏した結果となった今回のダービーマッチだった。引き続きこのフォーメーションが用いられるのか、そのトップ下に本田が入る可能性はあるのか。“日本人ダービー”としては不完全燃焼だった今回のミラノダービーは、もし次回があるなら完全な仕切り直しとなる。