「なでしこリーグカップ、INAC神戸3‐1千葉」(8日、ホームズ)
エンジョイ!ロンドン!なでしこジャパンのINAC神戸MF沢穂希(33)が、千葉戦にフル出場。2得点の起点となり、チームのロンドン五輪前ラストゲームで勝利に貢献した。試合後、ホームズスタジアム神戸で行われた壮行セレモニーでは「個人的には楽しんできたい」とあいさつ。9日から始まる千葉での直前合宿で18人のメンバーとともにテンションを高め、「集大成」と位置づける4度目の五輪で頂点を目指す。
穏やかな決意表明だった。五輪前のラストゲームで2得点の起点となったMF沢が、本拠地に集まった3763人に満面笑みで手を振った。
「メダルを獲得できるように頑張りたいし、チャンスをモノにしたいけど、個人的には大好きなサッカーを楽しみたい。そういうオリンピックにできたらいいなと思っています」
2日の五輪代表発表会見では代表選出の感慨を問われ「自分の名前を聞いて、ホッとした」と吐露。「年齢的にも最後のオリンピックになるかもしれない。集大成として結果にこだわりたい」と、自身4度目の大舞台をラスト五輪にする覚悟をにじませた。15歳の初代表から18年。日本女子サッカー界の希望、象徴として日の丸を背負ってきた女王が神戸を離れる特別な夜にあえて「楽しむ」という言葉を選んだ。
沢の胸の内を知ってか、壮行会では代表以外のチームメートがノリノリの演出を用意していた。AKB48の楽曲「会いたかった」の替え歌で「金メダル~イエス!」と合唱。「ちょっと外には出せない」という(秘)写真付きの寄せ書きを贈られ、全員と抱擁。「色紙はバッグの一番底に、きれいに袋に入れて持っていきたい」。感謝を胸に、9日から合流する代表合宿先の千葉に出発した。
「(五輪まで)3週間もないので、いよいよだなと思う。明日代表で集まったら、ドキドキ感というか、緊張すると思う」。3月に発症した良性発作性頭位めまい症を乗り越え、たどり着いた大舞台。過去3度とは明らかに違う思いを胸に秘め、戦いに挑む。笑顔の旅立ち。その真意は、沢だけが知っている。