格闘技再興へ RIZIN気になる2年目

 堅調か、伸び悩みか。25日にさいたまスーパーアリーナで行われた格闘技イベント「RIZIN FIGHTING WORLD GP 2016 無差別級トーナメント」のテレビ視聴率。同日にフジテレビ系で午後7時から午後9時54分に1部と2部に分けて放送され、トータルが平均7・2%、2部に限ると平均8・5%だった。(数字はビデオリサーチ日報調べ。関東地区)。

 ゴールデンタイムのとしては高いとは言えない。だがRIZINの榊原信行実行委員長は、同局の前4週の同時間帯や9月にゴールデンタイムで放送したバスケットボールBリーグ開幕戦(5・3%)、ボクシングWBO世界スーパーフライ級王者・井上尚弥の防衛戦(6・9%)を上回ったことを理由に「大健闘だと思う。裏に強力な番組がある中で、格闘技に対する国民の興味がしっかりあることが数字で示すことができた」と評価した。

 確かに、前回にゴールデンタイムで放送された昨年大みそかの大会の視聴率は第1部5・0%、第2部7・3%、第3部3・7%で、条件の違いなどを無視した単純な数字の比較では、今回はそこからわずかに増えた。これは格闘技の“固定客”がいることの表れであろう。だが逆に“新規客”を取り込めていないとも言える。今回は、隆盛を極める日本女子レスリングのパイオニアである山本美憂の総合格闘技デビューや、ミルコ・クロコップの復活などビッグネームの投入があったが、即効性の面では視聴率に大きな影響を与えなかったようだ。

 評価している榊原氏自身も、本音では物足りないと感じているのだろう。今回の裏番組で最高の視聴率17・5%を記録した日本テレビ系の人気バラエティー番組「世界の果てまでイッテQ!」などを例に挙げ、「スポーツ中継の中だけではなく、そのあたりの番組と勝負できるようにならないといけない」と話している。

 かつてのPRIDEは「イッテQ」のレベルで勝負できていた。何でもありの戦いで世界一の座を争う舞台であったことや、高田延彦-ヒクソン・グレイシーから始まり、そのヒクソンを中心として日本格闘技界の大きな壁となったグレイシー一族を桜庭和志が次々と打ち破っていった“痛快ドラマ”など、戦いのテーマが明確に見えて分かりやすかったことが、“固定客”以外の視聴者も引きつけた理由の一つだろう。

 RIZINの試行錯誤の努力は伝わるが、今のところそのような戦いのテーマが明確に見えてこない。そこにもどかしさを感じる。だが、期待もある。今回の山本美憂-RENA、山本アーセン-才賀紀左衛門などは、格闘技の醍醐味である倒すか倒されるかのスリルにあふれ、人間の潜在的な格闘技への興味を呼び起こすように感じられた。このような戦いが見られる機会が増えれば、新たなスター、新たなドラマが生まれ、“新規客”を獲得することにつながるかも知れない。

 RIZINは昨年と同じく、旗揚げから丸1年となる年末に2大会を予定し、大みそかは再びゴールデンタイムで放送する方向だという。榊原氏は「サプライズ的なことも必要」「各方面、各競技の選手にオファーを出している」とも話している。1年の活動の成果がどのような形で現れるのか、大いに注目したい。(デイリースポーツ・洪 経人)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

ファイト最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(ファイト)

    写真

    話題の写真ランキング

    リアルタイムランキング

    注目トピックス