3階級制覇の長谷川穂積、世界王者はリングを去るのか?

 ボクシングファンに永遠に語り継がれるであろう、WBC世界スーパーバンタム級の新王者・長谷川穂積(35)=真正=の奇跡の3階級制覇となった。16日、エディオンアリーナ大阪で強打の王者ウーゴ・ルイス(メキシコ)に挑み、9回終了TKO勝ち。1カ月半前に左手親指を脱臼骨折しながら、圧倒的不利の下馬評を覆し、最後はロープ際の猛烈な打撃戦を制した。

 国内最年長35歳9カ月の世界奪取で5年5カ月ぶり世界王者返り咲き。記憶も記録も刻み、早くも年間最高試合に推す声も多い。

 今後の注目は世界王者のまま引退があるのか、だ。

 長谷川は勝敗に関係なく「ラストチャレンジ」に位置づけ、負ければもちろん、勝っても引退の可能性を示唆してきた。試合後も「ゆっくりしたい」と進退は明言しなかった。

 過去に国内では現役世界王者のまま事故死した大場政夫氏、世界王座を返上してから引退した徳山昌守氏がいる。世界王者となり、1度、引退した新井田豊氏は後に現役復帰している。

 海外ではスーパースターがズラリと並ぶ。無敗の5階級制覇王者・フロイド・メイウェザー・ジュニア(米国)、映画「ロッキー」のモデル、ロッキー・マルシアノ(米国)、「小さな巨人」リカルド・ロペス(メキシコ)らが無敗の世界王者として引退した。

 世界ベルトを保持したままリングを去れば、まさにヒーローの引き際。ただ決断には今回も時間がかかりそうだ。

 ここ数戦は現役続行する理由をいつも探しているかのようだった。14年4月、IBF世界スーパーバンタム級王座戦に挑み7回TKO負け。「負ければ引退」を明言していたが、9カ月間、熟慮の末、「燃え尽きていない」と撤回した。

 昨年5月、1年ぶりの再起戦では無敗のホープ、オラシオ・ガルシア(メキシコ)相手に大差の判定勝利。満足感から進退に悩んだが、新たな科学トレーニングに出会い、「強くなっている自分がいるのに辞める理由がない」とした。

 試合翌日の会見では「やりたくなったら、やります」と話し、今後は白紙。今は心身ともゆっくり休める。自分と向き合い「やる」意義を見いだせるか-。奇跡の復活劇から去就までがレジェンドとなるのは確かだ。(デイリースポーツ・荒木 司)

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