「ボクシング・１０回戦」（３０日、上海）

　ボクシングのＷＢＣ世界ミドル級４位など主要４団体にランクインする村田諒太（２９）＝帝拳＝のプロ第９戦が８日、都内で発表された。３０日に上海でＷＢＣスペイン語圏ミドル級王者のガストン・アレハンドロ・ベガ（３２）＝アルゼンチン＝とノンタイトル１０回戦を闘い、今後の世界戦略への歩みを固めていく。

　ものすごい気迫だった。予定していた２ラウンドのスパーリング。圧倒的な迫力でメキシコ人パートナーに襲いかかった村田は、容赦のかけらもない。強烈な右ストレートを決めると相手は戦意喪失。田中繊大トレーナーが「相手がこういう状況なので…」と練習をストップした。

　プロ第９戦が３０日に決まった。場所は上海。「アジア人としてアジアでの立場を考えて戦う」と宣言。昨年までの己を振り返り「五輪の金メダリストとして、全勝を守りたいという気持ちがあったと思う」と自省した。

　技術的には「重心が後ろに下がり過ぎていた」という。しかし、最も大きなことは気持ち。「村田諒太」の看板を大事にし過ぎて、本来の自分を忘れてしまったことだ。

　「守りに入るのは、自分の考えとしては好きではないけど、そうなっていたかもしれない。新しい自分を見せられれば」。ロンドン五輪金メダリストが「リスタート」という言葉を使った。相当な覚悟で村田諒太が１６年のスタートを切る。