「ＷＢＣ世界バンタム級タイトルマッチ」（９月２２日、大田区総合体育館）

　“神の左”山中慎介（３２）＝帝拳＝が最強の挑戦者を迎える。ボクシングの帝拳ジムは１０日、山中が９月２２日に東京・大田区総合体育館で、バンタム級３位で前ＷＢＡ世界同級スーパー王者のアンセルモ・モレノ（３０）＝パナマ＝と９度目の防衛戦を行うと発表した。ＷＢＡ王座を１２度防衛したモレノはテクニック、実績とも過去最高にリスキーな相手だ。

　空調の効いた会見場で、山中は「暑いですね」と言った。モレノという名が“神の左”を火照らせていたか。常々「強い相手とやりたい」と言う王者の前に、名実ともに不足のない相手が現れた。

　モレノは前ＷＢＡ世界同級スーパー王者で、昨年９月にファン・カルロス・パヤノ（ドミニカ共和国）に負傷判定で敗れるまで６年４カ月、１２度の防衛に成功した強豪。１３年には、当時同級正規王者だった亀田興毅と統一戦が指令されたものの、実現しなかった。

　浜田剛史帝拳ジム代表が「派手ではないが、上体が柔らかく打たせない。相手のパンチを外したら必ず打って来る攻防一体の選手」と評する超絶テクニシャンだ。パヤノ戦も「もう少し時間があれば勝っていた」という見方をしている。

　山中も「空回りさせられる予想もあると思うし、負けるリスクがある」と警戒する。現在のバンタム級では最強の一人であり「事実上、統一戦の感覚ですね」とモチベーションは上がる一方だ。

　パンチを出しても、そこにいないことから、モレノは「亡霊」と呼ばれる。勝敗のカギは、山中の左が当たるかどうかの１点。「単発な攻撃ではだめでしょう。ジャブも含め、２回、３回といきたい」と、波状攻撃を宣言した。

　１２日からは同門のＷＢＣ世界スーパーフェザー級王者・三浦隆司とともに沖縄合宿に出発する。「前回（サンティリャン）は（愛称が）『幽霊』でしたが、今回が本物。また、退治しますよ」－。山中が「ゴーストバスターズ２」を予告した。