佐藤、完勝V1!次戦相手に和毅が浮上
「WBC世界Sフライ級タイトルマッチ」(8日、横浜文化体育館)
王者・佐藤洋太(28)=協栄=が、挑戦者のシルベスター・ロペス(24)=フィリピン=を3‐0の判定で下し、初防衛に成功した。亀田3兄弟の三男で、WBC世界バンタム級シルバー王者の亀田和毅(20)=亀田=が来場し、試合後に1階級下の佐藤への王座挑戦を表明。佐藤陣営も受けて立つ構えで、次回防衛戦で対戦の可能性が出てきた。開催地は、和毅に興味を示すプロモーターのいるメキシコが浮上している。
“マジカルボックス”全開だ。糸巻きのように両手をぐるぐる、よそ見のウオーキングでリングを半周、ガードを下げて首を左右にフラフラ…。佐藤は挑発的でトリッキーな幻惑殺法で、最強挑戦者ロペスを寄せ付けなかった。
「ジャブを合わせたとき、鉄球が飛んできたと思った」と、強打への警戒を強めたのが生きた。序盤から冷静に自分の距離を保ち、ロペスの拳は空を切るばかり。逆に、佐藤の鋭いジャブを中心とした攻撃は面白いようにヒットした。危なげない勝利に「判定を狙ってしまった。トリッキーな動きは気持ちを盛り上げるためにやった。ボクシングにつながらなかったけど、世界1位にできたのは収穫」と、反省しながらも笑みを浮かべた。
リスクの大きい初防衛戦での指名試合。強い相手を食いたいとの思いで自ら望んだことだったが、「試合後はホッとした。命の危険にさらされなくて」と、恐怖を感じていたことを打ち明けた。
王者の義務を果たしたが、新たなる強敵が挑戦に名乗りを上げた。観戦した亀田3兄弟の三男・和毅が、試合後に対戦希望を表明。佐藤は「客席にいるのは見えていた。にらみ合いとか苦手だから、リングに上がってきたら嫌だなと思った」と苦笑したが、「やれと言われた選手とやる。会長にお任せします」と、拒まないことを宣言した。
金平桂一郎会長も「おいしい相手とか言うならリングに上がってくればよかったのに。待ってたんだから」とニヤリ。「こっちは承りますよ」と、受けて立つ構えを見せた。同門からたもとを分かった協栄ジムと亀田家。因縁のゴングが鳴ろうとしている。
