【ファイト】ジョシュ・バーネット「赤字は一度もない」 親日家の“青い目のケンシロウ”がプロレス団体を立ち上げた理由とは?

 ゼロ年代に新日本プロレスやPRIDEなどで活躍したジョシュ・バーネット(46)は現在、米国でプロレス団体「ブラッドスポーツ」(以下BS)を主宰しており、6月22日に東京・両国国技館で初の日本大会「ブラッドスポーツ 武士道」を開催する。2024年の今、親日家の“青い目のケンシロウ”が作り上げようとしているプロレスとは何なのか。

 BSの旗揚げ戦は2019年4月5日。鈴木みのるや総合格闘技の大物フランク・ミア、ダン・スバーンらが出場した。以後、今年4月まで10回の大会を開催し、ジョン・モクスリー、ジェフ・コブ、上村優也、飯伏幸太、ニック・ネメスら日本でもおなじみの選手も多数、参戦している。

 ジョシュが「アントニオ猪木、カール・ゴッチ、ビル・ロビンソンら影響を受けてきたプロレスラーや総合格闘家から学んだもの、コンバットスポーツで学び、全てを打ち込むことで信じてきたもの全てを表現したい。影響を与えてくれた方々が作ってきたものに失礼のないように継承していきたい」と考えた結果が、BSなのだという。

 また、「全てのレスラーに戦う場を提供し、本当の自分をどう表現するかという場を作り上げたい。BSはロープもないし、ロープに頼ることもできない。今まで頼ってきたものが削られている中で自分をどう出せるかが本当の実力だと思う」と、プロレスラーとしての力量が厳しく問われる場でもあると訴えた。

 ブラッドスポーツという名称は「コンバットスポーツを表現したい」と名付けた。「コンバットスポーツは自分も血みどろになるし、相手をそうさせようともする。心身を出し切る意味でも、表現としてはいいんじゃないかな」と胸を張る。

 ルールはシンプルにして過酷で、ジョシュは「プロレスの原点に戻ったピュアなもの」だという。決着はKO、一本、レフェリーストップのみ。ロープもダウンカウントもなく、ロープに逃げることができない。打撃技は頭突き、パンチ、掌底、肘、膝、蹴りと全て認められている。

 そのようなプロレスを、観客は理解できているのか。ジョシュは「理解度はどんどん深まっていると思う。ルールの問題だけでなく、選手の闘魂に心を重ねる、言い表せないような感動があるから」と自信を見せる。

 ビジネス面は手堅い。「プロデューサーとして、作り上げるものは絶対にユニークでないといけない。そこに、プロレスで学んだ経験がすごく生かせる部分がある。僕の経験は全ての人にできるものではない非常にユニークなものなので、そういった言葉では表現できないものを形として作っていきたい」と、他イベントとの差異化を強く意識している。

 過去10大会は全て完売か、完売に近かったといい、PPVや入場料などの収入などで「赤字になったことは一度もない」と強調。「基本的に毎回、絶対に赤字にならないことが大前提でやっているので。継続開催できているということは、選手にもいい環境を与えられていると思う」と収支にはシビアだ。

 今回、日本大会には「武士道」と付けた。「日本で戦う時は、選手にも武士道精神があるんじゃないかなと思ったから。新渡戸稲造の『武士道』にあるように」とは、日本文化にも造詣の深いジョシュならではだ。「見たことがある選手も知らない選手も、絶対に新しいスタイルを見ることになる」と断言。BSに武士道精神がどのような化学反応を起こすのか、日本旗揚げ戦を注視したい。(デイリースポーツ・藤澤浩之)

 ◆ジョシュ・バーネット(Josh barnett)1977年11月10日生まれ、米シアトル出身。総合格闘技は19歳でプロデビュー。2002年、史上最年少のUFC世界ヘビー級王者。04年から参戦したPRIDEではE・ヒョードル、A・R・ノゲイラ、M・クロコップと並び四天王と称された。プロレスでは03年、デビュー戦で永田裕志のIWGPヘビー級王座に挑戦。IGF、戦極などでも主力として活躍した。日本文化に造詣が深い。身長191センチ、体重113キロ。

 メインはジョシュと現IWGP世界ヘビー級王者モクスリーの一騎打ち。第3回大会でTKO勝ちしたジョシュは「彼は本当に命がけでプロレスをやってると思うので、互いに命がけで試合したい。肩書以上に人間の強さを証明する試合になると思う」と話した。その他の主なカードは、鈴木みのる-ティモシー・サッチャー、船木誠勝-デイビーボーイ・スミスJr.、桜庭和志-サンティーノ・マレラ、クイントン“ランペイジ”ジャクソン-関根“シュレック”秀樹など。

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