【サッカー】C大阪3季ぶりのJ1復帰 柿谷が流した2度目の涙

C大阪-岡山 J1昇格を決め、喜ぶ(手前左から)杉本、山口、柿谷らC大阪イレブン=金鳥スタ
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 C大阪が3季ぶりにJ1の舞台に返り咲いた。4日にキンチョウスタジアムで行われたJ1昇格プレーオフ決勝で岡山を1-0で下し、最後の昇格切符をつかんだ。試合終了の瞬間、柿谷曜一朗(26)は雨に濡れたピッチで仰向けになって、人目もはばからず涙した。

 柿谷の涙を見たのは2度目だった。

 14年7月15日。キンチョウスタジアムでの川崎戦が、柿谷にとってスイス1部バーゼルへの移籍を前にした最後の一戦となった。試合を終え、壮行セレモニーの準備を待つ間、ピッチ脇の椅子に腰掛けた柿谷は、既にタオルに顔をうずめて肩を震わせていた。「優勝して出て行くと、あれほど言っていたのに本当に申し訳ありません」。サポーターとの約束を果たせなかったことを何よりも詫び、「もっと強くなりたい。8番がもっと似合う選手になって帰って来たい」と、涙ながらに誓った。

 だが、欧州挑戦はわずか1年半で終わりを迎えた。

 16年1月17日。J2に降格していたC大阪への復帰会見では「チームの中心をしてやらないといけないし、やる覚悟もある。自分の力で絶対に(J1に)上げてやるんだという気持ち」と、J1昇格を約束した。

 今季は主将にも就任した柿谷だったが、6月に負傷した右足首を8月に手術。11月の復帰まで約5カ月間も戦列を離れた。昇格を決めた岡山戦の後、柿谷は何よりもまず、リハビリに付き添ってくれた医療スタッフへの感謝を口にした。「僕の性格上、プレーできないとイライラしてしまう。わがままも聞いてくれて、試合に出られるようにしてくれた。感謝してもしきれない」。

 シーズン終盤に何とか間に合わせたものの、当然右足首は万全ではなかった。それでも痛みを押してピッチに立った。最後は走ることもままならない状態だったが、大熊清監督(52)は柿谷を最後までピッチに残した。山口蛍(26)が「曜一朗君が戻って来てチームが変わった。やはりセレッソは曜一朗君のチーム」と話すように、指揮官も背番号8の持つ影響力を熟知していた上での決断だった。

 同じキンチョウスタジアムで流した2度目の涙には、昇格の喜びだけでなく、長くチームを離れたことへの自責の念もあったのかもしれない。全てが終わり、ようやく心を緩めた瞬間、背負って来たものがあふれたのだろう。

 試合後の取材エリアを、柿谷は右足を引きずりながら、ゆっくりと通り過ぎた。復帰時に誓ったJ1昇格。サポーターへの約束を、今度は果たすことができた。(デイリースポーツ・山本直弘)

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