【野球】“スーパー1年生”の活躍に見た年代別侍ジャパンの意義

 夏の高校野球地方大会は、各地で熱戦が続いている。名門校やドラフト候補は、取り上げる機会が多い。それと並んで注目を集めるのが、入学後すぐにチームの主力となる“スーパー1年生”たちだ。

 今年は、早実で早くも4番に座る野村大樹内野手が際立つ。公式戦デビューとなった西東京大会初戦から2試合連続本塁打。先輩の怪物スラッガー・清宮幸太郎内野手(2年)の存在もあって、大活躍は全国的にも大きく報道された。

 茨城では、常磐大高・竹川大稀外野手が初戦のつくば秀英戦で3安打。今秋ドラフト候補の最速149キロ右腕・長井から固め打ちし、勝利に貢献した。兵庫でも、報徳学園・小園海斗内野手が須磨翔風戦で2安打。こちらもドラフト候補右腕・才木の攻略にひと役買った。

 この3人は昨秋、同じユニホームに袖を通している。侍ジャパンU-15(15歳以下)代表に選出。チームメートとしてアジアチャレンジマッチ・台湾戦に臨んだ。日の丸を背負って同世代のライバルとともに戦った経験は、成長の糧となっているようだ。

 早実と報徳学園の試合がほぼ同時刻に行われた14日、野村に小園の活躍を伝えると「そうなんですか?」と、パッとうれしそうな表情になった。「足も速いしオールラウンドな選手。自分もどこでも守れるようになりたい」と力を認め、LINEで互いに励まし合っているという。竹川に野村のことを聞いた際も「パワーが違った。負けていられない。僕はミート力と選球眼には自信があります」と、刺激を受けていた。

 中学年代には以前からシニア、ボーイズなど各連盟の日本代表はあった。侍ジャパンU-15代表として、連盟の枠を超えた中学硬式野球の代表となったのが2011年(当時はU-16代表)。13年からは、各年代の侍ジャパンがトップチームと同じユニホームを着用している。

 大谷(日本ハム)や山田(ヤクルト)ら、プロのトップ選手と一緒のいでたちで日の丸を付け、国際舞台に立つ。その意味合いは、少年たちにとって大きい。野村は「同じ18人でもう1回、U-18のユニホームを着よう、と話していたんです」と、U-15代表の仲間と誓い合ったことを教えてくれた。

 昨年、U-18ワールドカップに臨んだ高校日本代表を取材した際も、オコエ(現楽天)らは「今度はトップチームに入って、東京五輪に出たい」と話していた。侍ジャパンの男子には、U-12(12歳以下)からトップチームまで、7つのカテゴリーがある。一本化された侍ジャパンが、全国大会や甲子園という目標だけでなく「日本代表で活躍する」という夢をより身近にしたのは間違いない。

 Jリーグが発足した90年代以降のサッカー人気拡大は、日本代表の存在が起爆剤となった。若年層の競技人口の落ち込みが心配されている野球界。各年代の“日の丸戦士”の活躍が、人気回復と球界の発展につながることを願っている。(デイリースポーツ・藤田昌央)

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