【野球】早実・清宮のすごさを示す数字
100年の節目を迎えた2015年の高校野球。最大の注目を集め、フィーバーを巻き起こしたのは、早実の“怪物ルーキー”清宮幸太郎内野手(1年)だった。ラグビーの名将である父の存在、入学したのが高校球界きっての名門といったバックグラウンドもあり、当初は話題先行だった感はあった。それをファンの期待通り、いやその上を行く活躍で、実力を証明してみせた。
今年1年間の清宮の成績をあらためて振り返ると、そのすごさは際立つ。
公式戦18試合 68打数33安打、打率・485、7本塁打、36打点。
(注:旧チームで出場する国体、高校日本代表として木製バットで戦ったU-18ワールドカップでの成績は含まず)
ちなみに33安打の内訳は、単打16、二塁打9、三塁打1、本塁打7。長打の合計が単打を1本上回っている。四死球は15、三振はわずかに6だ。
並んだ数字だけ見ても圧倒的だが、特筆に値する点が2つある。
1つ目は、18試合すべてでヒットを放っているということ。ポテンヒットだけだった夏の西東京大会初戦の東大和南戦や、内野安打1本で完敗した甲子園準決勝・仙台育英戦など、内容的にはパッとしなかった試合もある。それでも、春3試合、夏6試合、秋4試合の地方大会と夏の甲子園5試合を戦い、ノーヒットで終わったのが1試合もない事実は素晴らしい。
そして、2つ目が7本のアーチだ。地方大会の試合数は都道府県によってばらつきがあるので、同じ東京の今年の3年生と比較してみると、高校通算37発の関東第一・オコエは公式戦5発、通算26発の東海大菅生・勝俣も公式戦5発だった。清宮は通算22発中の7発だ。いわゆる「高校通算本塁打」は練習試合も含めたもの。3年間で40、50本を積み上げたスラッガーでも、公式戦で打ったのは1ケタということは往々にしてある。まだ1年生の清宮が残した7本という数は、驚異的といえる。
特に本塁打数は、公式戦の重みを強調したい。練習試合では、当たり前だが相手バッテリーは主軸に対して“力試し”を挑んでくる。直球にしろ、変化球にしろ、勝負にくることは変わらない。だからアーチも出やすい。しかし、勝利が最優先の公式戦は「歩かせてもOK」「長打を浴びなければいい」という“かわす配球”の選択肢を取るケースが一気に多くなる。たとえ実力が落ちる相手だとしても、公式戦で甘い球を逃さずオーバーフェンスするのは、高校生にとっては至難の業なのだ。
入学以来、清宮の全公式戦を取材して感じたのは、チャンスになればなるほど研ぎ澄まされる集中力と、打席単位でアジャストしていく修正能力の高さ、ミスショットの少なさ。33安打のうち適時打(本塁打含む)が22本、打点がなかった試合は18試合中2試合しかなかった。
最速148キロ左腕・大江擁する二松学舎大付に敗れた秋季東京大会2回戦が、早実の今年のラストゲームとなった。来春センバツ出場は絶望的だが、清宮は「冬にしっかり振って、さらにレベルアップして春を迎えられれば。ここで終わりじゃない」と誓っていた。雪辱に燃える怪物スラッガーが、どんな進化を遂げて再びグラウンドに姿を見せるのか。2016年の高校野球も、清宮が話題の中心となることだけは間違いない。(デイリースポーツ・藤田昌央)





