【芸能】ユリオカ超特Q 豊岡系のツボ

 2015年も残りあとわずか。この1年のニュースを回顧する季節になったが、プロレスラー・藤波辰爾のモノマネで知られるお笑い芸人・ユリオカ超特Q(47)が政治、社会、芸能などからピックアップした時事ネタを90分ノンストップ漫談で語り尽くすライブ「第十八回 Q展」が師走の東京で開催された。9年間、年2回ペースで続けている彼のライフワーク的なイベントで、テレビでは語れない「生」ならではのネタが満載だった。

 偶然にも神戸を舞台にした2つのネタが頭に残った。神戸地裁で予定されていた野々村竜太郎・元兵庫県議の初公判ドタキャン(11月24日)と、神戸市内の道路下の側溝に約5時間も潜り込んで女性のスカート内をのぞき見ようとした疑いで逮捕された会社員の話(11月9日)だ。前者からはメディアや大衆の本音が、後者からは人間の業(ごう)が笑いに転化されていた。

 14年7月1日の“号泣会見”はいまだに繰り返し再生されている。初公判には報道陣が殺到。道義的な問題とは別の次元で、本人と直接関わりのない世間の本音は“あの続きが見たい”にある。それは確かに否定できない。ユリオカは「みんな竜太郎を求めているんです」と決めフレーズを発した。「みんな竜太郎に会いたいんです。あの2014年の夏をもう一度と…」とたたみかけ、“竜太郎ロス”という大衆心理を笑いのツボにした。

 “側溝男”に関しては、本人の供述「生まれ変わったら道になりたい」に焦点を当てた。何時間も狭い側溝に身を横たえて道と同化する行為を常習とした男。その供述は江戸川乱歩的な世界(人間椅子など)を連想させるが、ユリオカは「人がモノになりたいという願望はいろいろあるが、『道』というスケール感がすごい。最後はローマに通ずるのか!と。もちろん(のぞきは)犯罪ですし、よくないことですが、『道になりたい』は一般の人からは出てこないフレーズ。人間の業じゃないですけど、引きつけられちゃう部分はあります」と明かした。

 ユリオカはくしくも、“号泣議員”にゆかりの城崎温泉がある兵庫県豊岡市の出身だ。豊岡高から立命館大(プロレス同好会の後輩にはレイザーラモンRGと棚橋弘至)を経て上京し、シティボーイズ・大竹まことの弟子になった。ちなみに宇多田ヒカルのモノマネでおなじみのミラクルひかる、日本エレキテル連合の橋本小雪(「ダメよ~ダメダメ」の朱美ちゃん役)も豊岡市出身。ともに地元の高校を卒業するまで当地で過ごしている。

 高校を出るまで関西で生まれ育った“関西弁を話さない”東京芸人では林家ペー(大阪・浪速高出身)やダチョウ倶楽部の上島竜兵(神戸・村野工業高出身)らが思い浮かぶが、関西の大都市圏の人口を考えれば少数派である。それに対し、同じ兵庫県でも南部とは文化の違う北部の但馬地方に位置する人口約8万人の豊岡市は、東京に適応した芸人の輩出率が意外と高い。

 「家でとってる地元紙は『神戸新聞』なんですけど、豊岡は関西というより鳥取や島根に近く、言葉のアクセントも東京に近いんですよ。だから無理せずに(標準語=関西人の視点では東京弁が)しゃべられた。関東出身かと聞かれます。関西より東京でやった方がスムーズというか、違和感なかったですね。関西のしつこさとは違う、大竹さんの東京テイストが好きでした」

 兵庫県民だが関西人ではない。そんな立ち位置からの目線が彼の独特な芸風につながっているのかと、こじつけてみたくなった。

 「豊岡の人って地元出身というより、売れてる人の方が好き。昔、吉本の芸人さんと地元で一緒にライブやった時は、チュートリアルとかロザンとかケンコバ君とかテレビによく出ている芸人さんの方が地元出身の僕より歓迎気味でしたね。最近(地元で)やってないんでやりたいですけど」。その辺の厳しさも孤高(?)の芸風につながっているのかと、しつこいが、またこじつけたくなった。

 「テレビでは時事ネタについて言いにくいところがある。その点、お笑いライブは自由でSNSからも逆に解放された世界。そういうものを笑い飛ばせるのもお笑いの自由なところ。ライブでは正直でいたいと思います」。仕切り直しとなった野々村元県議の神戸地裁での初公判は16年1月26日に決定。10年目を迎える「Q展」は6月と12月に行われ、節目の20回を迎える。

 (デイリースポーツ・北村泰介)

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