【スポーツ】RIZIN陽はまた昇るか

 12月29、31日に行われる、新たな格闘技イベント「RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2015」のフジ系全国ネット放送時間が16日に発表された。29日は午後9時~同11時13分、31日は午後7時~同11時45分。フジとしては05年の「PRIDE」以来、10年ぶりに大みそかの格闘技が復活する。

 「K-1」「PRIDE」など、格闘技は2000年代初頭に爆発的な人気を集め、大みそかにはNHKの「紅白歌合戦」に対抗するコンテンツとして民放各局がこぞって放送した。だが、フジが06年に「PRIDE」の中継を打ち切ると人気は急激に落ち込み、「PRIDE」は翌年に活動を停止するに至った。

 そして2010年代に入ると、格闘技に代わるようにしてボクシング中継が大みそかの恒例番組となった。世界3階級制覇の井岡一翔を中心とするTBSの中継は10%前後の視聴率を稼ぎ、WBA世界スーパーフェザー級王者・内山高志を中心とするテレビ東京の中継は昨年に同局の大みそかの同時間帯で史上最高となる視聴率5・6%を記録(ビデオリサーチ調べ)。あるボクシング関係者が「歴史の浅い格闘技と違って、長く続いているボクシングの人気は底堅い」と話すように、人気爆発とまではいかないまでも、堅実に視聴者を集めている。

 そこに割って入るのが「RIZIN」だ。29日は「SARABAの宴」と名付け、日本格闘技の歴史の区切り、集大成の1日とし、31日は「IZAの舞」と名付け、未来への扉を開く、日本格闘技の新たな歴史のスタートにするという。国内外から集まる男女の強豪に加え、ボブ・サップ-曙戦や、高阪剛、桜庭和志、ジェロム・レ・バンナ、エメリヤーエンコ・ヒョードルら格闘技人気を引っ張った懐かしい顔も多く出場する。

 このラインアップには「いまさら」との声も多く聞く。しかし、懐かしい顔に頼るのも仕方ないだろう。世間の耳目を引きつけるには“名前”と“中身”を両立させることが重要。現在の強豪は実力はあっても、多くの人々が目にする地上波の露出は少なく、世間に名前が浸透していないのが現実。逆に、懐かしい顔は選手としての旬は過ぎているものの、その戦いが地上波で何度も放送されたことで、名前は知れ渡っている。

 懐かしい顔を見に集まった視聴者を、現在の強豪が“中身”で引きつけることができるか。年末の戦いぶりに注目したい。(デイリースポーツ・洪 経人)

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