【スポーツ】中嶋「国内男子は高レベル」

 男子ゴルフのダンロップフェニックスを取材した際、大御所・中嶋常幸(61)=フリー=に話を聞く機会があった。テーマは松山英樹、石川遼ら人気のある有力選手が米ツアーに参戦することで、国内ツアーが盛り上がりを欠くことになったのか、ならないのか。今後も川村昌弘、小平智、宮里優作も米ツアー指向があり、今後、海外へ流出選手は増えこそすれ、減ることはないと予想されるだけに、話の内容はとても興味深いものだった。

 中嶋の話の前提には、JGTO(日本ゴルフツアー機構)が昨年3月にトーナメント規定に加えた「複数年シード選手に対する5試合の出場義務試合」がある。これに違反した場合は1年間の出場停止処分が下されるという厳しいもので、国内ツアーの衰退を防ぐのが狙いといわれるが、周辺からは、そこまでして有力選手を国内につなぎ止めようとするのかという批判の声も聞かれたという。

 中嶋はこう言い切った。「(有力な選手は)日本のツアーに出る必要はない。まったく(考え方が)反対だね」。その理由はというと「(ダンロップフェニックスで優勝した宮里)優作も小平も高いレベルでやっている。組織側(この場合JGTO)が何でそれが分からないのか。(本来ならば)組織側が選手のすごいレベルを(ファンに)アピールしなくてはいけない」。

 つまり、松山や石川がいなくても、宮里優はじめ魅力あふれるプレーをする選手が国内ツアーに数多く残っているのだから、松山、石川に頼らず、この人材を生かせばいいではないか、それをしないで出場義務試合を課すようなことに走るのは本末転倒だというわけだ。

 かつて一世を風びしたAON(青木功、尾崎将司、中嶋常幸)時代のようなスター選手が、今の国内ツアーに登場しにくい難しさにも触れた。「AONの頃は、プロ野球で言えば、20勝、30勝する投手が出た時代と同じ。今はプロ野球のレベルが上がり、15勝すればすごい。ゴルフもオレたちが(年間)7、8勝もしていた時代じゃない。今は2勝でもすごいことなんだ」と自身の経験を元に話した。

 中嶋はAONで勝ちまくっていた時代は3人とも大スターだったが、今は2勝でも本当の力がないとできない。そこを組織側が上手にファンにアピールしていかなくてはいけないということを言っていたのだと思う。

 確かに男子ツアーは重大な岐路に立たされている。何とか立て直そうと思えば、試行錯誤もするし、間違いもあるだろう。決め手になる道しるべがないのならば、男子ツアーを愛すればこその中嶋の苦言に耳を傾けてみてはどうか。(デイリースポーツ・松本一之)

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