【野球】「現役にこだわる」正田の決意

 野球の独立リーグ・四国アイランドリーグplus(IL)の愛媛に所属する正田樹投手(34)が、10日に静岡・草薙球場で行われたNPBの12球団合同トライアウトに参加。打者3人に対し、無安打2奪三振の好投でアピールした。

 愛媛入団2年目の今季、正田は13試合に登板して7勝3敗、防御率0・74という圧巻の投球を披露した。エースとしてチーム初の独立リーグ日本一に貢献し、年間MVPにも選出された。そんな1年間の活躍を、トライアウトのマウンドにつなげた形だ。

 1999年に群馬・桐生第一高のエースとして夏の甲子園で全国制覇を果たした正田。同年ドラフト1位で日本ハムに入団すると、1軍に定着した3年目の02年には9勝を挙げ、パ・リーグ新人王にも輝いた。

 しかし、その後は左肩を痛めるなど好不調の波が大きく、周囲の期待ほどには勝ち星を重ねることができなかった。07年に阪神に移籍したが、2年間で1軍登板はなし。09年以降は台湾→BCリーグ・新潟→ヤクルト→台湾と渡り歩き、昨年5月に愛媛に入団した。

 苦しい時期が続いた左腕だったが、四国ILのマウンドでは格の違いを見せつけた。1年目の昨季は7勝2敗、防御率1・02で最優秀防御率のタイトルを獲得。2年目の今季は前期リーグ戦(4~5月)で52イニング連続無失点という驚異的な記録も打ち立てた。「今年は冬のトレーニングの内容がすごく良かったんです。走り込みを多くして、ストレート中心にしっかりと投げ込めた。それが結果として表れたと思います」。本人は好調の要因をそう語った。

 6、7月には四国IL選抜メンバーに選ばれ、同リーグ初の試みとなった北米遠征に帯同した。米独立リーグ球団を相手に計17試合。広大な大陸をバスで移動しながら、休日なしの17連戦だった。若手選手ばかりのチームの中で、正田は最年長。「自分の野球人生で、あれだけの連戦連戦は初めて。ナイター終わりですぐバスに乗って、次の地方まで5~6時間の移動とか。大変でしたけど、本当にいい経験をさせてもらいました」と異国での過酷な“武者修行”を振り返る。

 充実したシーズンの最後に、歓喜の瞬間も待っていた。後期リーグ戦を制した愛媛は、前期覇者・香川とのチャンピオンシップを制して初の年間総合優勝を達成。さらにBCリーグ・新潟と対戦した独立リーグ・グランドチャンピオンシップを2連敗のあとの3連勝で制し、初の独立リーグ日本一に輝いた。

 「日本ハム時代にも日本一(06年)がありましたが、その年は自分はずっとファームでした。だから自分がしっかり投げて日本一というのは、高校のとき以来です。ほかの選手や監督、コーチ、応援してくれたみなさんに感謝ですね」。舞台は違っても、やはり「日本一」は格別。年間MVPを受賞した10月29日のリーグ表彰式の際、正田はかみしめるように喜びを語った。

 シーズンが終わっても、休まず体を動かし続けた。昨年は受けなかった12球団合同トライアウトに、今年は挑戦すると決めていた。「現役にこだわっているという意思表示にもなりますし、やらずに後悔するよりは、やった方がいいと思って。NPBに限らず、現役は続けたいと思っています。そこはこだわっていきたい」。自ら復活を確信しているからこその強い決意。34歳、元全国制覇左腕の言葉に迷いはなかった。(デイリースポーツ・浜村博文)

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