“アスリート”春日 決断の背景には…

 オードリーの春日俊彰(36)が本業とはかけ離れたスポーツ界で、立て続けに“快挙”を成し遂げた。フィンスイミングでの日本代表選出&ボディービルでの大会5位入賞。無謀とも思える戦いを、1年間追い続けた取材ノートを読み返すと、アスリート芸人の葛藤が記されていた。

 昨年5月4日、「東京オープンボディビル選手権」に初出場するも、予選敗退。直後にテレビ局へ向かう車中で話を聞いた。自信過剰が芸風とあって、再挑戦へ威勢のいい言葉を期待し質問を向けると、返事は想定外のものだった。「ただ筋肉ムキムキで満足する競技じゃないと分かりました。今後については…考えたいです」。逡巡(しゅんじゅん)を見せ、最後までボディービル継続宣言を聞くことができなかった。

 大会から1カ月半が経過した6月下旬。インタビューの機会に恵まれた。「趣味程度のペース」だという、週3回のジム通いを続けていることを明かしてくれた。再度、ボディービル大会リベンジの可能性について聞くと、「まだ半々」-。「1回絞った後は筋肉の付き方が違うから、チャンスはチャンスなんですけど…」と自覚しながら、再戦の決断は下せずにいた。

 夏に所属事務所が意思確認したところ、2年連続でボディービル大会に出場することを明言。事務所関係者は「目標が定まったことで、ジムにほぼ毎日行くようになりました。海外ロケのときもホテルでトレーニングして。すべて自主的。我々から『トレーニングに行け』と行ったことは1回もありません」と証言する。

 「春日の性格にも合ってるんじゃないかと思います。もったいない精神があるから、ボディービルをやめたら筋肉がなくなると考えたでしょうし。自宅に風呂がないんで、ジムに行けば風呂に入れるというところも、いいんじゃないですかね」(同関係者)。続行か、“引退”か-。ボディービルダー春日の葛藤を消し去ったのは、『ケチキャラ』と、ブレーク前から住み続けるアパート『むつみ荘』という、意外な2大要因だったようだ。

 11月からはフィンスイミングへの挑戦もスタート。仕事の合間にジム、仕事が終わるとプールに通う超多忙な日々が続いた。

 今年3月15日、世界キップをかけて「フィンスイミングジャパンオープンマスターズ大会」に出場。2種目に挑み、2位以内で日本代表入りだったが、フライング失格(ゴールは2着)と3位という惜敗。プールサイドで「いけた試合だったから、悔しいっす。また練習して頑張りたい」と唇をかんだが、1カ月半後、上位者辞退による“繰り上げ当選”の朗報が届いた。

 5月7日に開いた代表報告会見で、「1番いい色のメダルしか考えていない」と世界一を宣言。その3日後に行われた「東京オープンボディビル選手権」では決勝に進出し、5位入賞で“ひとつ目”の目標は達成した。

 次なる戦いの舞台は6月6日、イタリアでの「フィンスイミングワールドカップマスターズ大会」。“ふたつ目”を有言実行し、金メダルを首から提げて帰国する春日を、空港で取材したいと思う。(デイリースポーツ・丸尾匠)

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