ロッテ田中のローテ入りは消滅したのか

 苦渋の一時離脱だった。ロッテのドラフト2位・田中英祐投手(22)=京大=は、大学での卒論発表のため4日から3日間、チームを離れた。開幕まで1カ月を切った時期に、チームを離れなければならないことに、秀才右腕は「この3日間を抜けるのは痛い」と漏らした。

 2月22日に練習試合・広島戦で2回無失点、3奪三振と、上々の実戦デビューを果たした田中。当初は2軍キャンプスタートとみられていたが、1軍メンバーに抜てきされると、20日間を故障なく完走した。

 伊東監督は「途中リタイアすることなく20日間を終えたのは彼にとっても収穫。投げるスタミナもある」と高く評価していた。そして、実戦でも好投したことで、次なるチャンスをつかみ、順調に段階を踏んでいた矢先だった。だからこそ、田中にとっては、後ろ髪を引かれる思いでの離脱だったのだ。

 自身の目の前の狙いを、今、開幕1軍に定めている。首脳陣の構想では、開幕カードの先発6人の顔ぶれは涌井、石川、唐川らで確定しており、事実上、田中の開幕ローテ入りは消滅したといえる。しかし、落合投手コーチは「先発6人にも何があるか分からない」と、先発陣のバックアップ要員として位置づける。開幕1軍の可能性が、ゼロになったわけではないのだ。

 今年のロッテ投手陣は、先発と中継ぎ陣を完全に分業制にしており、「先発がダメだからといって、中継ぎに回すという考えはない」(落合コーチ)というだけに、リリーフ枠で1軍に残るという選択肢はない。

 田中はカーブ、スライダー、チェンジアップ、フォーク、カットボールと球種が豊富。どちらかというと、荒れ球を武器として抑えるタイプであり、先発としての適性が見出されている。「5回3失点くらいに抑えてくれれば」と同コーチも期待を込めている。

 開幕1軍-。ルーキーがまず最初に掲げる目標のひとつではある。そして報道するこちらとしても、そこがひとつの分かりやすい区切りにはなる。もちろん開幕ローテに入れれば、それに越したことはないが、ルーキーが名を連ねるのは並大抵ではない。長いシーズンを通して、1試合でも多く1軍で登板することが、プロ野球選手として大事なこと。それを目指せる位置に、田中はいるといって良いのではないか。

 当初は2軍スタートのプランがあったことを考えても、ここまで生き残ってきた田中には、今後の期待が膨らむ。いずれにせよ、与えられた実戦登板のチャンスで、結果を残すことだ。開幕1軍が仮に実現しなくとも、この経験は田中にとって価値あるものになる。

(デイリースポーツ・福岡香奈)

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