メジャーの舞台目指す38歳渡辺俊介

 2月1日-。プロ野球がキャンプインする裏で、静かに自主トレを行う男がいる。元ロッテ・渡辺俊介投手。メジャーの舞台を目指し、2年目の挑戦をスタートさせていた。

 「メジャーへの思いは強くなっています。何も分からずに挑戦した昨年に比べ、今はチャンスがほしいという気持ちが強いですね」

 昨年はレッドソックスとマイナー契約も開幕前に解雇され、米独立リーグのランカスター・バーンストーマーズと契約。11月下旬からはベネズエラリーグのレオネス・デル・カラカスでプレーした。

 帰国は1月9日。ほぼ1年間をプレーし続けたことになる。過酷と思われる挑戦も渡辺は「楽しかったですよ」と笑顔で振り返った。マイナーでは厳しい環境下でのプレーを余儀なくされる印象が強い。だが渡辺が語る海外の野球は、そのイメージを覆した。

 「金銭面や家族と会えない状況以外は、プラスの経験ばかり。『過酷』というだけのものとは違いますね」

 独立リーグでの収入は月2000ドル程度。住居は球団が契約したホテルやホストファミリーの家が提供される。ただ「用意されたゲストルームも広く、ホストファミリーもとても親切で快適でした」と生活面の不自由さは少なかったという。

 施設面でも「日本のファームより上ですね。球場もきれいで、毎試合3000人ぐらいはお客さんも入っていた」とプレーする環境が整っている。では、治安が悪いとされるベネズエラではどうか。

 夜間外出などは制限されるが、プレーする環境に問題はない。待遇面でも給料はランカスターの約6倍。球団からは高級ホテルが用意され、離島への移動はチャーター機を使うことも。球場には平均2万人ほどの観客が大声援を送り「久々に日本シリーズのような空気を味わった」と話すほど野球熱は高い。

 到着時、球団職員と合流できずにいると空港職員に呼び止められたが「野球選手だと話したら『一緒に写真を撮ってくれ』と。即席の記念撮影会が始まりましたね」。まさに野球は“世界の公用語”といったところか。

 ただし生存競争は厳しい。「挑戦して、メジャーへの道の険しさを痛感しました。本当にスゴイ舞台なのだと」。2つのリーグで計47試合に登板(先発24試合)しても、メジャー契約を勝ち取ることは容易ではなかった。

 それでも「楽しいと感じられたのは、結果を残せたからこそ。数%でも可能性があれば、あがいてみたい」と渡辺は言う。今季は、新たにメキシコでのプレーも視野に夢舞台を目指す。今年39歳を迎えるサブマリン渡辺俊介。その挑戦心に、衰えなどみじんもない。

(デイリースポーツ・中田康博)

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