虎の思わぬ落とし穴…鳥谷残留の吉報も

 阪神の球団幹部、チーム首脳は一様に鳥谷のFA残留を喜んだ。補強戦線でことごとく「恋人」にフラれ、明るい話題のなかったオフだけに球団内にお祭りムードが漂った。キャプテンがメジャー移籍すれば、大和をショート、西岡をセンターへコンバートする和田監督の腹案もあったと聞くが、これは完全に消滅。チーム内でこのプランに異論が渦巻いていただけに懸案はひとまず片付いた。

 鳥谷の遊撃は不動として二塁のレギュラーを西岡と上本が争い、三塁を新井良と今成が競争すればチーム内は活性化する。阪神の内野層は例年になく厚いじゃないか-なんて浮いた声も聞こえてくるが、見落としてはいけない弱点が潜在する。

 一塁だ。昨季打点王のゴメスがいるから安泰?果たしてそうだろうか。14年シーズンと同様またはそれ以上の活躍を周囲は期待するはずだが、気になることがある。球団関係者によれば、ゴメスがドミニカ共和国に帰国している約2カ月半の間、チーム首脳は調整法を本人に完全に一任し、定期的にコンディションを把握するなどのコミュニケーションも取っていないという。

 真面目で人懐っこい性格は愛されキャラで人望もあるのだが、練習姿勢はマートンのようなストイックさがない-というのがチーム内共通の見解。そこはラテン気質とでもいうのか、少しのんびり屋さんなのだろう。

 1年目でタイトルを獲得するなど好結果が出た。年俸も大幅アップ(推定約1億2000万円アップ)して、新たに「2年契約」を結んだ。新天地へ向かう緊張感に包まれていた昨年の今ごろと違い、心に相当余裕が出ているはずだ。美しい奥さん、そして昨年生まれたばかりのまな娘と過ごすバラ色のオフ。2月1日のキャンプに向けて体調管理を怠らず、万全の調整で来日の準備を整えていると信じたいが…。

 「余裕」があだになり、仮にゴメスのエンジンがかからなければ-そんな危機管理まで頭を巡らすと、ネガティブな材料も並ぶ。一塁の控えは誰が務めるのか。阪神はこのオフ、新井貴浩を自由契約にし、長打力を秘める森田一成に戦力外を通告した。一塁はゴメスで盤石。そんな楽観的判断による編成とも言えるが、ゴメスにコケられた時の想定をどのように考えていたのだろうか。ゴメスは昨年11月の離日の際「このオフは体を絞りたいんだ」と話していた。来日は今月末に予定されている。私の不安をかき消すような、引き締まった肉体、精悍(せいかん)な顔つきで関西空港の到着ゲートに姿を見せてくれることを願っている。(デイリースポーツ・吉田 風)

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