2年目を終えた楽天・則本の野望
まだ早いが、可能性は十分に感じさせた。だからこそ、実際どう思っているのか。楽天・則本昂大投手は、2年目のシーズンを終え、つかの間のオフを過ごしている。年明けは松井裕、辛島らと、尊敬するヤンキース・田中将のもとで合同自主トレを行う。
1年目は15勝で新人王、2年目は14勝。最下位に沈んだチームにおいて、2年連続で結果を残し、今月上旬に行われた契約更改では年俸1億2000万円。田中でもなし得なかった3年目での大台突破を達成させた。
ここ最近「将来的なメジャー挑戦の可能性は?」と色んなところで聞かれるそうだ。「まだ2年しかやっていない。そういうことを言うのは早い」というのが則本の答えだという。
今年はチームの勝ち頭となった則本だが、それ以上に、メジャーに関して周囲がざわついたのが1カ月前の日米野球だ。第3戦で先発した右腕は、5回を無安打無四球と完璧に抑えた。
メジャーリーガーとの対戦。マウンドに上がる前の心境を聞いた。「正直、いい意味でも悪い意味でも僕の名前はそんなに出なかった。日米両方で、名前の通る選手になりたいっていう気持ちは当然あります。だから今回の日米野球は、最高に名前を売るチャンスだと思っていました。あ、メジャー行く、行かないは関係なくですよ(笑)」。その気持ちを投球に込め、最高の結果がついてきた。
入団から2年間担当してきて、グラウンド内外で話す機会の多い選手だった。時々、聞いているこちらもビックリするくらいの闘志や表情を見せることがある。
15勝した昨年、完投勝利がなかったという話になると「絶対にまず完投したい。いや、します」と言った。3月のオープン戦期間中の時だったか、鬼気迫る表情が印象的だった。そして今年の初登板となった開幕戦の西武戦、いきなり完投勝利をやってのけた。
シーズン中はほとんどお酒を飲まない。翌日に残ったりすると、最悪の場合さらにその翌日まで体調が悪くなるのだそうだ。いわゆる“三日酔い”である。「でも、実際は弱くないですよ」というから、オフにバーでお酒をともにしてみた。
侮った私がバカだった。アイリッシュウイスキー「ジェムソン」のジンジャーエール割を初めて飲んだ則本。「これ、うまいッスね」。水のように飲んでいく。1時間半で8杯、いや、もっとか。「気合入れたら全然平気です」。翌日、ケロッとする則本の横で、二日酔いの記者がいたことは言うまでもない。
話はかなりそれたが…。気合と魂の男、則本にはある野望がある。先日、テレビ番組で、今年まで指揮官だった星野仙一シニアアドバイザーが「20勝して、エースと呼ばせろ!」と語った。現時点で、則本にエースの称号はない。「3年活躍して、初めてエース」という前監督の言葉があるからだ。それに対し、右腕はこう語った。
「それがすごいうれしかったんです。だったら、呼ばせてやろうじゃないか!という気持ちです」
20勝したら、またさらに周囲が騒ぐんじゃないか…。将来を聞いてみた。
「今年以上の成績を、と常にこれからも思って、やっていくと思います。それがずっと積み重なったら…その時は…どうなるんですかね」と、苦笑いした。
私事だが、今年で5年間の楽天担当記者生活が終わった。なかなか取材はできなくなるが、今後の則本昂大の成長を陰ながら応援している。
(デイリースポーツ・橋本雄一)
